謎の反応

 乗るべき電車を逃し、遅刻した。

 逃したので、あわてて登校ルートを変えることにする。二つのルートのうち、お金はかかるけどやや早いほうのルートにしたのだ。
 途中で朝のトイレタイムを体が要求したので、更に遅れることになったのだが、根本的な問題はおそらくそれではない。
 京阪は普通、特急、快速、急行など、様々な種類の電車が走っているが、どれがもっとも早く目的地に着くのかわからない。乗り換えの駅までは特急で行った方がいいのか?それともどうせ快速に追いつかれるのか?快速から急行に乗り換えるのか?等々・・・組み合わせが多くてよくわからない。更に悪いことに、樟葉、中書島枚方市など、乗り換えるべき箇所もいろいろあって、中には特急が止まるところ・止まらないところの違いなど、素人にはよくわからないことが多い。
 阪急は、十三か高槻市であれば、とりあえず何にでも乗り換えられるとか、結構はっきりしているのだが。

 ともかく、そういうことでちょっと授業に遅れました。ゴメンナサイ。

 とはいえ、今日は授業をする日ではない。
 レポートを提出してもらったり、授業内試験をしたりする日なのである。レポートを提出する際に、ちょっとわからないところがあるというのであれば、その場でお答えしましょうという「質問日」でもある。

 さて、今回は珍しい反応があった。何を意図しているのか、全くわからない学生の反応である。

 その授業のレポートは、A,B,C,Dと四つの問題があるなかから、答えやすそうなものひとつを選んで回答せよ、というもの。A,B,Cは授業でやったテーマだが、Dは指定されたブックリストから一冊選んで、読んで要約せよという内容のもの。これは、どうしても授業の内容がわからなかった人・興味を持てなかった人、あるいはなんらかの事情で授業に顔を出せなかった人、のために設けたのである。いわば救済措置の一種ですな。
 で、ワラワラ・・・と学生が提出してくる中で、ホッチキスで止めたりもしていない紙の束が提出された。後でまとめながら、「あー、ホッチキスで止めてこいよ・・・」と思いながら見て気づいた。

 タイトルが「複雑系〜複雑系経済学〜」とある。
 当然のことだが、私はそんな授業をやった覚えはない。参考文献リストの中に、ワルドロップの『複雑系』は入れておいた。が、経済学ではないのである。

 しかし、一番の問題はこれではない。

 表紙に「参考文献 本書全文参照」とあり、あるURLが書いてある。

 アクセスしてみる。

 案の定、レポートの内容と100%(一言一句!)同じ文章が出てきた。とある大学の先生の、複雑系経済学への入門的文章なのである。レポートを読んだときに、「あ、こりゃこいつの頭から出てきた言葉ではないな」というのはすぐにわかったのだが、まさか全文引用、いや、コピー&ペーストとは!!

 しかし、よくわからんのである。
 なぜ、URLを書いて、ご丁寧に「全文参照」と書いて、これがパクリであることを自ら明らかにしたのか?単位が欲しいのであれば、自分がやりましたという顔をしていればいいのに。
 単位が欲しくないのだろうか?なら、なぜレポートを提出したのだろうか?
 最小の努力で単位をもらえたらラッキーと思ったのか?その正直さがプラス評価になると思ったのか?
 でも、私の出した課題をやっているわけではないので、タイトルの時点で不可は確定しているのですよ。

 今日一日で、学生のレポートが100部ぐらい、テスト答案が132部。計230ほどの学生の反応を入手したが、0.5%ぐらいはこういうおもしろ反応があるということか。

 帰りも負けじと京阪にトライ。
 今度は高市行き?とかいう電車に乗ってしまい、乗り換えを余儀なくされる。
 急行に乗るも、一駅行ったら止まる。終着が隣だったようだ。目の前を特急が通り過ぎていく。
 仕方がないので普通に乗る。時間がかかっても、これなら間違いなく京都まで連れて行ってくれるはずだ。時間に余裕があったので、本でも読みながらゆっくり行くか・・・

 と思ったら、降りるべき駅を乗り過ごした。
 一駅戻る。

 京阪嫌い。