【読了】私論被災者の心理

この本は,阪神淡路大震災の被災者になった社会心理学者の書いたもの。
東日本大震災から一ヶ月以上たって,やっと読む気になった。

この本の書き方は,論理的ではないし,専門的でもない。でも,それだからこそ,読んで価値があるものではないかと思う。

書かれたのは,1996年。震災後一年が経過しているが,毎日続く「被災後」の生活がいかなる状況であるかを,割り切れない言葉で表現しておられる。

おそらく,そういう事なんだろうと思う。
被災者でない人間が,テレビ等の報道を見て,大変なことが起こったとおもう。それはそうで,それ以上でも以下でもない。被災者でない人は,被災者の気持ちになれないのだ。

筆者はいう,マスコミに「今何がほしいですか」と聞かれたら「余震を止めてほしい」という,と。それが無理なら「お金がほしい」と。

できもせんことをいうなとか,生々しいことを言うな,と反感を覚えるかもしれないが,そういう「反感」を覚えられるのは我々が被災者じゃないからだ。被災者の内側に入ってないからだ。
それは,無理なのだ。

無理であっても,外からでも,出来ることがあるのだ。
大事なのは,部外者として楽しめる「コンテンツ」にしてしまわないことだ。一緒に夢を見ることだ。

人間には,理屈で割り切れないところがある。
そんな事実を内側から書き出している,めったにない本だと思う。
今回の大震災において,被災者のために何かしようと思う人は,まずもってこの本を読んでから,自らのことを考えてみてはどうだろうか。

中身はやや難解である。言葉遣いがというよりは,論理的でないからだ。
そういう論理的でない割り切れないところをしっかりと,受け止めてみたいと思う。