純粋アンケート批判

アンケートって、流行ってるんですね。
社会調査士の資格を持っている、という事でアンケート調査ならあいつに、みたいな呼ばれ方をする事があるけど、勘弁して欲しいな、とおもう事が増えてきている。
なぜなら、まずアンケートしよう、という気持ちの悪い風潮があるからだ。そして、そういう流れでなされたアンケート調査は、ただのアリバイ作りにしかならないのだ。

書ける範囲で、具体例を示そう。

迷惑駐輪が目立つので、組織としてはなんとかしなければならない。そこで、まずはアンケート調査をしよう、という話があった(実際に実施されたw)

ついては、調査票をちょっとチェックして欲しい、と、調査票決済の2日前の呼ばれ、この調査について、意見が欲しいという。

みると、

  • 迷惑駐輪はいけない事だと知っていた
  • ヘッドホンをつけたまま自転車の乗った事がある

等の項目が並んでいる。五件法で学生にこたえさせるらしい。
呆れてものが言えないレベルである。
これをきいてどうするのか。これを知ってどうするのか。

知っていようがいまいが、体制側は規制するしかないのである。
ヘッドホンをつけたまま乗るようなモラルの低下があっても、体制側は規制するしかないのである。

調査後のデザインがない。これは調査初心者のよくあるパターン。ダメな事は間違いないが、学べば良くなるだろうよ。

ひどいのは、今日聞いた話。

大学で必要な教育とは何か、各学部の教員にアンケートします、という話。

吹き出しましたよ、マジで。ギャグか、と思ったもん。
しかも、回答方法が自由記述w
まさかの丸投げ。

大学の教育というものは、ポリシーにのっとって、こういう人材を作る!という方針の元、吟味して議論して作り上げて行くものでしょうがぁ!

それをアンケートて!
なんでも聞いたらええと思うなよ!

議論する暇がないからアンケートする。
アンケートの結果が直接実行に結びつくわけじゃない。
二週間後に回答が欲しい。

あーもう、あほやなー。
この事について何か意見は、とかって、真面目に会議している人達…
呆れ果てた。

アンケートは、効率的な意見収集のツールではあろうが、調査後のデザインがない調査や、やったという事実だけを使う調査は、ウンコですよ。百害あって一利なしですよ。
これで意見がなければ、承認したとみなされるし、紙いっぱいに反論を書いても、反対意見1で終わり。バカバカしい。

エビデンスベースドな議論が、末端では悪用されるわけです。効率性の名の下に、大事な筋道が隅に追いやられる。
ヤレヤレですわ。

アンケートをしたらいいってもんじゃない、という事は、伝染るんです。の山崎先生のエピソードにもある*1ので、是非それを読んで、「じゃあアンケートしてみよう!」と思いつくオメデタイ脳みそをお持ちの方は、顔を洗って出直すといいです。

*1:右足から家を出る生徒のほうが左足から出る生徒よりも多いのか…!と興奮する山崎先生のエピソード