何が時代を動かすのか

何が時代を動かすのか―ポスト消費社会の価値観を求めて (ディスカヴァー携書)
何が時代を動かすのか―ポスト消費社会の価値観を求めて (ディスカヴァー携書)

今がどういう時代であって、今後どういう時代になるのか。すでにどこかで書いたとおり、私には先見の明がないので、気になっているけれどもわからない。ので、社会学や経済学、政治学や世論をみながら勉強しています。

ただ、多くの書物はペシミスティック*1なんだよな。昔は良かったとか、今の若者はどうこうだとか。そりゃフリーターやニートばかりで、凶悪犯罪ばかり引き起こし、ケータイでしか友達の出来ないゲーム世代かもしれませんけどね、それでも僕たち若者は、外界に適応しようと生きているのです。

ちなみに、フリーターやニートばかり、という言説は間違いです。
最近凶悪犯罪が増えた、犯罪の低年齢化だ、というのも間違いです。
いずれもちゃんとデータを分析してない、センセーショナルな言いがかりです。
詳しくは、反社会学講義でもみてください。

ゲーム脳というのは似非科学です。マイナスイオンに効果があるのというのと、同程度かそれ以下の似非科学です。ウソだと思う人はちょっと調べてみてください。肯定派・否定派のどちらがデータに真摯に向き合って、感情抜きでまじめに考えているか、判断してみてください。

話が横道にそれた。

いずれにせよ、どんな話題でも正・反両方の意見を聞かねばならぬと考える私としては、オプティミスティック*2に現代様相を捉え、感情はもちろん特定の思想*3を抜いて、考えるヒントをくれるものがほしいのです。

この本は、最初タイトルを見て、どうかなぁ、と思った。カバーデザインは悪いと思うし、中身はややペシミスティックだった。しかし、書いてあることはある程度納得できることであった。いい本だと思う。

その理由は、まず筆者が「これは個人的な考えによるものです」という点を強調していること。自分は自分の生まれた世代、社会から抜けられるはずもないので、異論はあるだろうけど、私はこう分析している、という。第二の理由、「タイトルは出版社が考えた。驚いた」という点(笑)なるほど、たしかに目を見張るタイトルですが、本意ではないのですか。そうですか。第三に、ちゃんと未来への建設的発言をしていること。現代社会に悪態だけついて、「じゃあどうするの」という問に答えない評論家が9割以上の世の中で、これは素敵な(実は当然の)姿勢だと思う。

80年代〜2000年代を分析している箇所については、共感できないこともある(だって俺らはその環境でやってきたもの。適応してきたもの。それが悪いといわれても。)が、まぁそれはいい。国家、マスコミの正しいあり方について提言する、まとめの箇所が説得的である。*4
最後の方に出てくる「民主党は本当に頭の悪い政党だと思う」という台詞も気に入った(笑)

みなさんも、社会のことについて考えてみよう、と思ったら、是非この本を読んでみてください。

*1:悲観的

*2:楽観的

*3:保守でも共産でも。右も左も。

*4:正しいかどうかはわからない。ただ、私には正しい考えだと思われた。