NANA

人気のコミックス、NANAを読破しました。

学会も終わり、二日ほど休めるのでレンタル屋で借りてきたのだ。いい休暇になりました。

一巻の前半は俺が嫌いな感じの「少女マンガっぽさ」にあふれた話だったが、一巻後半以降はすんなり読めた。二人のナナがそれぞれ主人公の読み切りがあって、それが受けたから連載になったらしい。

以下ネタばれ含む感想です。嫌な人は読まないように。

思うに、連載になったときに、この二人のナナを合わせたところが作者の才だと思う。
二人のキャラクターがそれぞれ、「頭が悪くて、恋愛至上主義で、将来の夢はお嫁さん」、「かっこよくて、自分の夢を追いかけていて、愛については一途」という設定になっている。端的に両極端なキャラクターで、前者が尻軽、後者が純情という性質のところが少しひねってあるポイントか。これはどちらも女性にとっての、理想型の一形態なのだろう。

性描写が存外頻繁に出てくる。また、芸能界の裏側(っぽいもの)がそれっぽく描かれる。この辺の刺激の与え方が、読者の欲しい物をわかっとるんやなー、と感心した(もちろん、私はこんな感じで斜から読んでいるので、ココでいう「読者」に該当しない。女性に人気だと聞いているので、私の中の一方的な少女マンガ読者イメージ、である)。

少女マンガ、あるいは恋愛マンガなので仕方がないところがあるが、このマンガに足りないものが一つある。それは論理性である。
堅苦しく表現したが、言い換えれば、ここでいう論理性とは、体系・目的のことである。少年マンガと違って、少女マンガには得てしてこれがない。例えば「海賊王になる」というような、はっきりした目的がなくて、ただただ「幸せになる」ということだけだから、ホレタハレタが転々と展開する。めぞん一刻も恋愛マンガだが、ゴールが音無響子一人なので、「管理人さんと幸せになる!」という一つの目的である。NANAは幸せになるというのが目的だから、相手がころころ変わってしまう。一本筋の通ったところがないので読み疲れるのだ。

もっとも、マンガに目的が必要か、というと必ずしもそうではない。ただし、その場合は「世界観」がほしい。例えば、甲殻機動隊機動警察パトレイバーJoJoの奇妙な冒険のように。新しい世界を提供する、というのがマンガという虚構の一つの役割だと思うからだ。

恋愛とはプロセスを楽しむものだから、それでいいのよ、といわれたらそうかもしれない。ただ、論理性、世界観、ストーリー性、あるいは“筋”のようなものを求める私には、物足りないというだけだ。

面白くなかったわけじゃないよ。面白かったか?と聞かれたら、面白かったと答えます。ものすごく高いレベルでの話だからね、これは。マンガとしての基本を押さえていて、各キャラがたっていて、キャラクターに感情移入できるからね。

あるいは、まとめ読みせずに、雑誌で定期購読していたらはまったかもしれない。なんせ、先が気になることだけは間違いない。ストーリーが常に流転しているから・・・。

意味もなく画像を入れて宣伝しておこう。

NANA (1) NANA―ナナ― 2 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1248)) NANA―ナナ― 3 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1286)) NANA―ナナ― 4 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1338)) NANA―ナナ― 5 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1377)) NANA―ナナ― 6 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1406))
NANA―ナナ― 7 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1413)) NANA―ナナ― 8 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1464)) NANA―ナナ― 9 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1506)) NANA―ナナ― 10 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1528)) NANA―ナナ― 11 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1560)) NANA―ナナ― 12 (りぼんマスコットコミックス―クッキー)
NANA―ナナ― 13 (りぼんマスコットコミックス―クッキー (1633))

こんな一日でした(どんなだ)。