Kosugitti's BLOG

アンドロイドは正規分布の夢を見るか

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社会心理学

数理社会心理学研究会@山口

数理社会心理、ではなく、前半と後半で分けます。数理社会と社会心理、の研究者が集う研究会をやりました。

院生の頃は社会学研究科所属で、数理社外学の先輩方とよく遊んでいたので、その繋がりで山口に来ていただきました。

社会学側、心理学側と交互に交代しながらプレゼン、ディスカッションしていくスタイル。久しぶりに社会学的、数理的な刺激を受けて楽しかったなぁ〜。

ちなみにこの2つの領域を繋いだのが、ベイズですよ。

研究会はいつもそうなんだけど、プレゼンの時以上に懇親会やコーヒー飲んだりしてる時の情報交換がすごく大事で。色々な気づきを得たシーンもたくさんありました。導出の重要性、証明してドーパミン出さなあかん、Mathematicaはすごい、測度論をやろうか、圏論はキワモノ?俺は社会心理学をやめるぞジョジョ!などなど…

主催者曰く「思った通り意外と面白かったです」という感じだったので、またどこかでやりたいですねー。



遺書を読む会

学部時代の指導教員が本を書き上げたので、弟子の前で披露するという。読書会、参加してきました。

極めて大きなテーマで、メタファーと言葉の再定義が繰り返されるので、信じるものは面白いし、信じない者にはイロモノでしかない。

俺はそういう先生が好きだし、老いてなおその元気があること、嬉しく思いました。先輩や後輩も批判的に愛してるし、楽しい世界だったな。

なんというか、久しぶりに学部生のような気持ちで先生に接することができたように思う。おそらく学生の頃にあった根拠のない自信の代わりに、自分なりの考え方が少しはできてきたおかげだろうと考えている。即ち、ベイズ万歳だ。

自分の研究はちゃんとせなあかんけど、それを取り巻く世界もよく勉強しないとな、とも思った。論文を書きたいのではなく、「知りたいんや」



書評のようなもの。「サピエンス全史」

サピエンス全史,読みました。これは面白かったー!

歴史の本とは思えない切り口。著者の仕事が「マクロ歴史学」らしいんだけど,なるほどそういうジャンルもあるのかと思いました。なんせ研究対象がホモサピだからなあ。

人類にとって大事な歴史的変化は何か,と考えると,認知革命,農業革命,科学革命などであり,ローマ帝国が滅びたとかフランス革命があったとかいう革命は「ホモサピがなんかやっとるで」ぐらいのレベルでしかない。この冷めた感じが,読んでいて痛快。人間が歴史を紡いできたんじゃなくて,「小麦が自分のDNAを広めるために人間を利用してるんだ」とか「ミームが広がるために人間がいるんだ」ぐらいの感じ。人間を突き放しているような視点,価値観を超越して客観的に記述している視点が,心理学的・特に社会心理学的な観点を学ぶ上でも重要なポイント。

特に面白!と思ったのが19章の「文明は人間を幸福にしたのか」。彼が言うには,

  • 人間の幸福が快楽を求めることにあるのであれば,ドーパミン,セトロニン,オキシトシンを求めるのが正解
  • 人間の幸福が自己実現にあるのであれば,いかに「自分はちゃんとやってる」と思い込めるかが勝負

もうこの辺はこれで答えが出ちゃってるよ,と言う。

ただしこれらの幸福は限定付き。化学的な正解を求めるのは長続きするもんじゃないし,思い込みは思い込みでしかなく時自分を意図的に騙すのは難しい。であれば,合理的な正解は何かというと,仏教的なゴールにたどり着くと言うのね。つまり,煩悩からいかに解脱できるかになるだろう,という感じ。

これって要するに,知情意に対応しているように思うのね。知識で行くなら煩悩からの解脱になるし,情緒的なゴールが欲しいのなら化学になるし,意図・意思・人間性のゴールは思い込みになる。少なくともこういう三つの方向性があって,人が議論してるときは,参加者がどのゴールを求めようとしているのかを自覚したり見極めたりする必要があるなあ,と。議論して勝って気持ちいい!と言う人もいれば,己の思い込みの世界を壊して欲しくない人もいる。別に欲もなく知識を追い求めてる人もいるだろうし。

私のいるアカデミアの世界では,最後の種類の幸福を求める人でありたいと思うし,そう言う人が多い世界であって欲しい。一方で,世間一般的には第一,第二のゴールを求める人の方が多いんだろうなあ,とも思う。

いずれにせよ,人間はどこに行くのか,幸せとは何か,と言うのを一度すごく冷静に見つめるために,心理学の観点や態度を身につけるために,ぜひ学生諸君には読んでもらいたいなあ。



日本心理学会参戦記

9/20-22の日本心理学会@久留米に参加して来ました。

 

ありがたいことに,2つのWSからお声がかかって,話をさせてもらいました。また,一つチュートリアルWSを開いて,そこでも話をして来ました。3つも発表を準備するので,夏休みの間はなかなかプレッシャーでしたが,とりあえず無事終わって良かったです。

最初は日本における数理心理学の展開XXVI。これほぼ最初の頃から列席している自分としては,登壇する側に回れたのはすごく光栄なこと。しかしまあ,最初は意気込んで引き受けたものの,内容が「これ見てる人面白いかなあ」と思いながら作ってました。言いたいことは,シミュレーション研究してた人はベイジアンモデリングを使うとデータとの検証がしやすくなったよ,という話で,いくつかの実例を出して喋ったんですけど,時間を10分オーバーしちゃって,すみませんでした。まああのWSはいつもゆるい感じだから,ええかなー,と甘えちゃったところがあるんですけど。

次の登壇は三日目の朝で,ベイズ統計をどうやって心理教育に入れて行く?って話。
スライドは公開してますので,ご笑覧ください。山口大学の心理統計は先端を行ってるぜ〜,って,うちの学生にも思って欲しいなあ(笑

Jap2017 ss65 優しいベイズ統計への導入法 from 考司 小杉

 

この後は塾メンバーのWS。満席で部屋には入れないほど。関心の高さが伺えました。やったね。

実は気づいてなかったんだけど,こういう話があって。

思えば遠くに来たもんだ。そしてまだまだいけそうですね。

この次もベイズ。今度はTWSで,うちわではこれは「販促TWS」だったのです。犬4匹本のね。

犬4匹本は,確率って何?Rって何?というところから始まって,帰無仮説検定木っ端微塵,を経て,一般化線形モデリング(の全て)まで案内するという意味で,初心者のバイブルになると思っています。本当にいい本なんです。この本のエッセンスとして,ベイズの基本的考え方と,帰無仮説検定の問題点と統計モデリングの基礎を伝えました。こちらも満員御礼感謝です。当日の資料がありますので,良かったらこちらのサイトにもどうぞ。

ところで,学会直前,15日に刷り上がったというこちらの本。通称「コワい本」ですが(表紙がなんか怖いから),こちらの方がより心理学的,認知モデリングとしては詳細に書いてあるので,犬4匹本の次にこの本を手に取って欲しいものです。ベイジアンモデリング,盛り上がっていこうぜ。

とまあ今回の日本心理学会はこのように,私はもちろんベイズまみれでしたけど,全体的にもベイズ統計に対する注目度の高さを感じました。後は時系列データ,ビッグデータのあたりかなと思いますが,この辺にもベイズ統計はうまく効くのです。誤差まみれのデータをクリーニングするとか,自己相関の高いデータを状態空間モデルでなんとかする,という話でベイズ統計大活躍なんだよね。

公認心理師関係の情報を集めて回る余裕がなかったのが心残りかな。

でもまあ楽しい学会でした!二日目の夜にはベイジアン宴会もできて,その際「訳者特権・特製マグカッププレゼント」も無事に終わらせたし。一段落という感じです。

さあ日常に変えるか・・・



そりゃ電子化ってこういうことだよね

論文の掲載決定!

「書かなければ死ね」の世界にいながら,実に6年ぶりに査読あり論文の筆頭著者になれました。いやー,久しぶり。

データも取りっぱなしになっていたものを掘り返して,やっと成仏させたようなところですので,なんら威張れることはないのです。ちょうどBehaviormetrikaがIFのつく雑誌になったという話だったので,応援がてらいっちょ出してみるか,というぐらいの気持ちでした。査読も早く,半年で掲載になりましたから,皆さんオススメですよ,ここ。

(ここからの話は,当たり前のことなのかもしれませんが,なんせ浦島太郎状態だった私にとっては新鮮な話でしたよ,というエントリなので生暖かい目で読んでください)

さて,書くときに「もうTeXでやりてえなあ」と常々思っていたものですから(文献リスト作るの大嫌い),それでもチャレンジしてみたのですが,まあ色々と驚くことが。

TeXの原稿とBibtex(文献)ファイルを用意して,もちろん図版なんかも用意したんですけど,それをネットの投稿システムにアップするわけです。そうするとしばらくすると向こうの方でウウーーンとコンパイルしてくれまして,コンパイルできたものがDL可能になります。で,問題なければこれで審査してね,と送るわけです。

最初はコンパイルエラーが出まくって,「なんだよ,原稿はかけてるんだけどサブミットできねえよ」みたいな状態でやってたんですけど,原因となる「カッコ閉じてない」とか「$マーク閉じてない」みたいなものを逐一直すと,あら不思議,ちゃんとPDFが出来上がるんですね(あたりまえだ)。ちなみにローカル環境では,こうした些細なミスはバッチファイルが「んもー,カッコ閉じておいてあげるからね!$マークもいれといたからね!」とフォローしてくれるからコンパイルが通るのであって,ちゃんとwarningメッセージを見てローカルで綺麗にしておかなきゃな,と反省しました。はい。

念のためにローカルでコンパイルできているPDFも一緒にアップしておいたら,「ヘイ,原稿のバージョンは一つしかダメだぜ。同じのが二回あがってるよ」と事務局から注意されたりもしました。うん,自分のソースファイルをもっと信じないとダメだね。

査読者とのやりとりはもちろんwebを介してやるわけですけども,再校のアップの時も同じようなスッタモンダがあったり。2,3ヶ月あくとやり方忘れてますわな。

ともかく,これでAcceptというところまで来たわけです。

そのあとは,これフリーで見られるようにするかい?との連絡が。そりゃその方がいいですし,雑誌側もそっちを勧めてくるので,じゃあそうしようとクリックすると「オッケー,3000ドルだけどいいかな?」と言われてびっくり。さんぜんどる!すみません,そこまで予算組んでませんでした,会員限定版・無料コースでいいです・・・。

そうか,自由になるのもこうやってお金いるんだなあ,今後は掲載料?として旅費並みに見積もっておかないとなあ,と反省したりしました。

さて次に,「掲載するにあたってこれで最終稿にしてええか?出版社の都市名とか抜けてるとこ直せよ?」という確認が来ましたが,直せるところは直して「もうこれでオッケー」とか,「版権云々はこれでいいか」みたいなやりとりがあって,ハイハイというてるうちに,すぐに公開されちゃった。Acceptの連絡から2週間と経ってないですよ。

かつて出した日本の学会では,Wordファイルで(TeXで原稿書いてても掲載前にWordにさせられたりしました)校正して,なんなら紙ベースで2校,3校とかやって。ああ億劫だなあと思っていたのですが,その辺の問題から自由になるわけです。TeXだからレイアウトとかも,出版社のフォームに流し込んでコンパイルするだけみたいで,ラックラク。

文献も自動的にコンパイルされるし,出来上がった原稿は引用文献なんかも相互リンク,文献リストからGoogleで検索に飛んでいけたりもしてるから,読む人もこっちの方が楽よねえ。これが全自動,筆者の手を介さず(もちろん編者の手も介してないとおもう),自動でできてる。doiもついてるし,筆者用のFull Text PDFリンクも送られてくるし。あはーん,電子化ってこういうことだよねえ。

あと今回,せっかくなのでORCIDにも登録しました。やるまで知らなかったんだけど,世界的に使われている研究者IDみたいなもんですな。論文からも飛んでいけるし,ORCIDのマイページみたいなもんにも自動的に文献リストができたわけです。普段,自分の業績リストを「わぁいアップデート,アップデートだぁいすき」といわんばかりに,こつこつ自分の手で更新していたわけですが,こうやってIDで紐付けられたら,今後はそれからも自由になるよね。当たり前だよね。

マイナンバーとかもこうやって,全部自動化して楽になるためにできたはずなのに,日本ではまだまだそこまでですね。。Researchmapも頑張ってほしい!だって,こうやって「電子化の正しい使い方」みたいな正解を見せられちゃったら,絶対こっちの方がいいもん。研究者は論文の中身だけに手間を取りたい人種ですからね。

あ,ちなみに論文にはOSFでソースコードもローデータも公開してます。今後はこういうところもオープンにしていかないとな,と思ってるんで。論文を読んで,「なんだよ,こっちの方がもっといいモデルになるだろうが」とか言ってくれる人がいたら,これはもう望外の喜びですので。みんなで幸せになろうよ!

 

Cite this article as:Kosugi, K.E. Behaviormetrika (2017). https://doi.org/10.1007/s41237-017-0033-9

 



学会のハシゴ

8/24-29がアジア社会心理学会@オークランド、8/29-9/1が行動計量学会@静岡県立大学、ということで「学会のハシゴ」をやってます。国際学会と国内学会のハシゴ、冬服と夏服を併せ持った荷造りなど大変なところはありましたが、なんとか本日無事に、大きな体調不良もなく、終わらせることができそうです。

ニュージーランドの肉はうまかった。

そして静岡の肉もうまかった!(さわやか)

幸い、どこでも快眠、快便なのです。
心身ともにリフレッシュ?!ですな。
とはいえ、9月は学会と実習のシーズン。休み休み頑張るぞい。



JSSP2016参戦記

この週末(2016.09.17-18)にあった日本社会心理学会大会に参加してきました。会場は母校。前回この学会大会が母校であったときは実行委員だったなー,とか思ってたら,あれからもう10年経ってたのね。

学部の建物も建て替わって,H号館という名前になっている。社会学部棟とH号館はつながっていて,似て非なるもので。しかも前の建物のレイアウトのイメージに合わせよう,とすると「あれ,これはどっち向きなの。今俺はあっち向いているはず?」とかえって混乱しちゃいます。

この学会はいろいろなセッションが並行で走るから,発表の内容によってはあっち行ったりこっち行ったり,とバタバタしている間に午前中が終わり,正午からの打ち合わせにはちょっと遅れて行くことに。無事打ち合わせが終わったと思ったら,今度は自分のポスターを貼る番で,在籍責任時間の前にちょっと別の打ち合わせをして,発表会場に戻ったら連名発表者が説明してくれてて・・・と目まぐるしいお働き。さすがにポスター発表後,ちょっとぐったりしたので,久しぶりにお会いしたfjt先生とコーヒーブレイクしましたよ。

懇親会はお酒を飲むだけ,というわけにもいかない。というのもIISという国際宇宙ステーションだかサーバのソフトだかと勘違いしてしまいそうな,アイデアの他流試合。ご指名いただいたので,懇親会の会場で議論することに。会場の端っこにでもポスターがあるのかな,と思いきや,ポスター会場を分断するかのように中央にずらりとポスターが並ぶという・・・。

師匠が小走りに壇上に向かって,説明してくださったワインも飲みたかったので,その辺をウロウロしているとIISに行くのが少し遅くなりまして,まあ潤滑油も入っていたのでいろいろ思いついたこと(普段は言わないようなこと!)を喋ってしまいました。ごめんなさい。

懇親会の後は西宮北口の,昔よく行った店で仲間と二次会。明日もあるから,とか言いながら看板の時間まで飲んでました。

ところが翌日も朝から真面目にセッションに参加しちゃうんだな,これが。学会特有の足腰&肝臓のトレーニングで少し疲労感はありましたが,この時期頑張らないと学者としてどうなん,ということで午前中はたっぷり会場。お昼は仲間とランチして,そのあとは研究グループと打ち合わせする時間に。ほんと,普段とは比べ物にならないぐらい,研究という愉悦に浸りました。

実行委員の皆様,ありがとうございました。大変楽しく充実した二日間を送ることができました。書籍コーナーでも拙著をいろいろ宣伝させていただきました。ご購入いただいた皆様,ありがとうございました。

研究に関する印象として,自分の発表は浮いてしまうんじゃないかと思っていたけど,結構興味を持ってくれる人がいたり,幾つかの発表の中でベイズ的だなとか,データ生成モデルの観点が広がってきているな,というようにも思いました。懇親会でも「ちょっと興味があるんだけど手を出しにくくて・・・」みたいな話も聞きました。

Rとベイズは自分の最後の恋と決めているのですが,素敵な恋を皆さんとも分かち合いたいので,研究会などに呼んでいただければ,伝道師としてすぐに参上しますよ。Enjoy Bayes! May the Bayes be with you!

 

学会二日目の終わりにはゼミの同窓会(その前に時間があったので0次会)までたっぷりと,体と脳みそをフル回転させたのでした。自分ところの院生をほったらかしてたのはほんまごめんなさい。

でも,ほんと,楽しかったでーす。

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忘れない,恋心

最近,恋愛を特にしたいと思わない若者によく出会う。

男女が二人になれば,何かしら可能性があると思って生きてきたが,「全く何もない,考えられない」という声をよく聞くようになった。

学生の頃,指導教員が「人生のエネルギーの半分はゼミ,半分は異性にかけろ」と言っていて,その言葉に従って生きてきた人間としては,最近の若者のその感覚が理解できない。

今の学生が,20年前と違う社会状況に置かれていることは理解しているつもりである。生まれてこのかた好景気を感じたことのない世代だとか,大学の縛りがきつくて忙しかったり,経済的な理由から(ブラック)アルバイトに振り回されたり,リアル社会だけでなくSNSのようなバーチャル世界も含めて,多層レベルでの多面的なバランスをとらなければならないストレスがあったり。

とはいえ,恋愛の根本は生理的な反応=性欲に基づいているものだと思うし,そういう種のレベルでの命令を個体レベルの意識が押さえこめる,というのは理解できないのだ。
もちろん向こうも汚れた青春を送ってきたこのおっさんの感覚なんかわからないだろう。

恋愛の根本が性欲だと言ってしまうと反論があるかもしれない。社会心理学的に,親和欲求であるとでも言っておいたほうがいいか。
しかしそれにしても,相手のことしか考えられなくなって興奮して眠れなくなってデートしている時の幸福感があって・・・という認知機能がバグっている(故ミンスキー博士)状態は,制御できない本能的なものであるのではないか。

この仮定をも疑うとすると,心理学はいろいろ見直さないといけないことがあるんじゃないか。
私にはなかなか疑い得ないのだが。

先日深夜の飲み会で,隣の席の男の子がこっちのパーティーの女の子に声をかけてきた。その時の安堵感といったら。



「わかる」と「はかる」

わかる,いろいろ

分かる、は小さい単位に分けることができること。

解る、は機構・メカニズム・理論がわかること。

判る、は善悪などの価値判断ができること。

逆に、

分からない、はどうやって分割して対応したらいいかに困っていることなので、区分の仕方、より噛み砕いた説明が必要。

解らない、は要素のつながりがみえてないので、要素が分かってるか確認して、つなげ方を丁寧に説明することが必要。

判らない、はどの価値基準に準ずるかというルーマン・システム論的悩みで、どのコードを使うか選択してもらうことが必要。

平仮名のわからない、はどの「わからなさ」かもわかってないので処置なし。

と、此処までは師匠の受け売り。

わかる、をはかる

わかった、というのは自分の中になんらかの「情報源」や「価値基準」が出来たってこと。

たとえば、「1,2,3…あとはわかるな?」と聞かれて、わかったといえるのは、そのパターンが(数列産出機構が)自分の中に入ったことを意味する。

つまり、「わかる」は「以下同文」の体得。

「わかる」をはかるために,相手が受け身的であれば,テストをしてわかっているかどうかを確認する。わかっているのであれば、多様な質問をしても対応できるはず。何故なら、対応機構が入ってるはずだから。様々な項目を使って「以下同文」としてパターンを応用できるか検査する。

逆に「わかる」をはかるために,相手が能動的であれば,いくつものパターンを生成させてみればよい。はかりたい対象について,いく通りの説明ができるか。関連する事象をいくつ挙げることができるか。何通りの現象に応用できるか。この「生成パターンの多さ」がわかっている程度であると考えられる。

ポートフォリオという学生の履修カルテのようなものが流行っているが,これはそうした「生成されたパターン」を記録して数え上げましょうという考え方。ただ,生成パターンを記録した紙の厚みで測定し,それを理解度の近似値と推定するのは下手な使い方である。アウトプットの量に興味を持つのではなくて,あくまでも生成可能性が理解の程度であることを忘れてはいけない。

目に見えないものを,はかる

テストの考え方を逆転すると,はかれるということはそこに何かがあることだ,とも言える。これが心理測定法の基礎。

つまり,妥当と考えられる一連の質問群を投げかけるとき,反応に一連のパターンがみられるということは,その構成概念の存在を仮定してもよかろう,という話。

「性格とは何か」「性格テストで測定できるものである」
「性格テストで測定できるものは何か」「性格である」

というトートロジカルな話のもとはここにある。

ただ,刺激が妥当でなくても,反応に一連のパターンが見られてしまうと,そこに構成概念があるんではないか,と考えられてしまう。よくできた性格検査の中に「ラーメン好きである(はい・いいえ・どちらでもない)」みたいな項目が入っていて,これを含んだ尺度の信頼性係数が十分に高かったら,この項目を排除できない。反応に一連のパターンがあるんだから,ラーメンは性格の一部でしょう,ってなことになる。

だから,妥当性は,尺度の前に十分に考えられる必要があるし,尺度で測定する前にしっかりとその言葉の定義をしなければならないのです。

という話を来週の集中講義でします。
昨日は大学院の追いコンで,臨床系の学生に「フォーカシング的態度尺度」について「それはなんなのよ」と一時間以上問い詰めたけど,妥当な答えが返ってこなかったので,私はそれを信じられないでいます。ということもあって,書きました。

追記) 測定の前に妥当性を考えろ,っていう話はもう一つ注意があって,「はかるとはかれる」ことにもつながります。ないものであっても,回答用紙を差し出してどこかに丸をしろ,と言われると丸をしてしまうもの。丸がついたことで「ほらみろ,あるじゃないか」というのはヤクザの喧嘩みたいなやり方なわけです。私はこのことを「心理尺度の呪い」あるいは「てっちゃんの手品」と呼んでいます。ご注意を。




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