戦闘妖精・雪風

一言で言うと「これは面白いわ」である。

心理学の講義を受講している学生が,「今,戦闘妖精雪風という本を読んでいるのですが,人間と機械の違いとはどのようなものでしょうか」というコメントを書いてきて,なんだそれはと調べて行き着いたモノ。

書評を見ると,日本オリジナルのSFである,とか書いてあるので,SF好きの私としては手に取らなければならない気にさせられる。
しかし,同時に,検索結果で出てきたアニメ動画を見て,なぁんだマニアックなモノなのか,という気もする。しかも戦闘機がメインに描かれているから,ミリタリー・マニアの好むような話なのかも知れぬ。

という葛藤はあったものの,SFであるというポイントを信じて読んでみた。

読むと,これは確かにSFであり,心理学である。
非人間的・機械的と言われる主人公の,なんと泥臭くて人間的であることか!機械とは何か,生きているとは何かということを,深く考えさせられる内容である。

確かに軍隊モノのマニアックな文章表現なども含まれるが,それを越えて伝わってくるものが間違いなく存在する。

森博嗣の書く理系小説にでてくるのとは,またちょっと違った意味で非人間的,非文系的な主人公の考え方を通して,人間とは何かを考えさせられる良書だと思う。