因子決定係数の謎

Mplusで因子分析をするとFactor score determinancyという係数が出てくる。これは何?とマニュアルを見ると、

…The factor score determinancy ranges from zero to one and describes how well the factor is measured with one being the best value.

とある。0から1の間で示されるデータフィットの数値らしい、ということだそうで。

もう少し調べてみると、

A good index of factor score determinancy is the squared multiple correlation of the factor with the observed variables.

という記述に出会った(BERT F. GREEN JR.(1976) On the factor score controversy,Psychometrika,41(2),263–266.)。

「因子と観測変数の相関の二乗」という表現はシンプルでわかりやすい。

さて、問題は、どうしてこの指標が売れなかったか、だ。
心理学業界では因子分析を「経て」、因子得点を算出する、という流れがある種王道なわけだが、その推定については、簡便的な方法と回帰法などの推定量を算出する方法*1がよく知られているが、後者を採用するのであれば因子決定係数(とでも訳そうか)について言及する必要があるんじゃないかと思う。
が、そういった言及をしている論文はほとんど見あたらない。

なぜそこで追求(言及)の手をやめたのだろうか?この指標があまりにも些末な問題だと思われたのだろうか?

因子得点をどうするか、ということについて、心理学者は無関心すぎると思うのだ。

*1:この方法だって、SPSS様がボタンひとつで出してくれるのだから十分簡便である。