【まとめ】電子書籍に関するこれまでの奮闘

iBooksAuthorが出たときに,これだ!と思ったのよ。

書籍を,電子媒体として出すことができる,しかも個人レベルで出すことができるとなると,大分気が楽じゃないかと。

一つはボリューム。別に薄いペラッペラの本を出してもいいわけで,「出すからにはちゃんとせにゃあ」という気合いが少し減る。これは「後に残るものだからちゃんとしないといけない(孔明様も「やはり書物に嘘は書いてないものじゃ」って言ってた)というプレッシャーからの開放にもつながる。もちろんちゃんとしたものを出さないと行けないんだけど,技術が進歩することもあれば,誤字脱字は出版した後も見つかるものでね。そういう意味で,電子書籍にしたらアップデートしやすかったりするからいいよなあ,というのがある。

もちろん,ちゃんとした出版社でちゃんと出すことのメリットがあって,最大の利点は編集がちゃんと入るってこと。言葉のチェックだけじゃなくて,レイアウトの美しさまで考えた校正をしてもらえる。しかも,宣伝してくれるし,本屋さんに自分の本が並んでいると嬉しいっていうのもある。もちろん,印税ももらえるわけです。

逆に,売れない本は出してくれないし,印税で儲けることがねらいじゃないから,もうちょっと気楽な・・・という情報公開がしたいこともあるよね。

 

で,iBooksAuthorが出たときに,これだ!と思ったのよ。

実際,統計の授業で使っている自分のノートを清書して,Rの使い方なんかも交えて買いて,ePubにして学生に配布してやろうと思っていたんだけど,さてこれがなかなか筆が進まない。というのも,元はTeXで書いていた原稿があるていどあるので,それをiBooksAuthorがそのまま読み込んでくれりゃあ問題ないんだけど,そういう機能はまだついてない。で,コマンドを消したり加筆修正したりして書いていたんだけど,やっぱりアプリとしての使い勝手は合う合わないがあるわけで。

iBooksAuthorは悪くはないんですよ。WYSIWYGがいい人にとっては,便利難じゃないかなあ。でも個人的には,それよりも数式の美しさ,図表の美しさ,レイアウトの美しさが欲しいのです(Macなのでフォントの美しさ等は問題ない)。

で,やっぱりTeXか,LaTeX -> HTMLやLaTeX->ePubの変換かなあ,とか考えていたけど,そこから意外な方向に路が分岐していったわけです。

まずPandocというのに出会った。これはいろんな書式のデータを相互に変換してくれるアプリで,LaTeXからePubも作れたりする。でも,日本語LaTeXの時にはスムーズに行かなくて,現在進行形で対応中のよう。

次に,構造化されたテキストから様々な形式にファイルを吐き出す,SphinxとReVIEWというのに出会った。

最初に好きになったのはSphinx。インストールが比較的容易で,quick-startを使うとコンパイルに必要な基本設定ファイルを自動生成してくれ,あとはmakeコマンドでhtmlやTeX,ePub形式に出力してくれる。元のソースはreStructured Textという書式で書くんだけど,これはまあ慣れてしまえばそれほど面倒でもない。

次にReVIEW。これもインストールは比較的容易。yamlという基本設定の書式ファイルは自動生成じゃなく,サンプルをみて(ダウンロードして)自分なりにカスタマイズしていく必要があるけど,それができればSphinx同様,html,TeX,ePub形式に出力可能。元のソースはReVIEWフォーマットに従って書くんだけど,書式自体はreStructured Textよりこっちの方が慣れるのは早かった。出来上がった出力結果,LaTeX経由のPDF を比較すると,どちらかというとReVIEWがつくるファイルのほうが美しいと感じたし。開発者が日本人なので,日本語の対応もスムーズにいってると思います。

で,スイスイ書いていたんだけど,ReVIEWには一つ問題が。数式がうまく出ないんですよ。@<m>というコマンドはあるんだけど,ePubやhtmlでは奇麗に出ない。LaTeX書式で出すとちゃんと出るんだけど,今回はePubが欲しかったわけで,これには困った。ReVIEWが今後更新されていったらもう少し対応してくれるのかしら。それに期待するしかないけど,現状は無理。

で,Sphinxはその点,比較的対応が上手。デフォルトでmathjaxという仕組みを使っているみたいで,htmlレベルではこれで奇麗に出る。ePubにする場合は全然だめだったんだけど,mathjaxのエクテンションを外せば,dvipngを使って数式を図として取り込む。これを使えば,いいePubができました。

できあがった書籍については近日公開予定です。ちょっとまってね。

 

ということで,結論から言えば,数式の入ったePubが欲しければSphinx,数式がなく文章主体のePubならReVIEW,数式が入ったPDFでいいなら当然LaTeXというところでしょうか。Sphinxはコンパイルのときに所々失敗するところがあって(例えばコードブロックなのにハイライトできてない箇所があったりする),最終的にはSigilなんかで整えていかないと駄目っぽいけど。

ReVIEWもSpinxもまだまだ開発途上で,これからもっと良くなっていくだろうし,なっていってほしい。優劣つけがたいけど,自分の中でePubにするルールというか,一つのテキストから複数の書式を作るという今風のドキュメント作成が理解できたのはよかったなあ。

なにより,構造化された文章を,プレーンなテキストで,マークアップして書いていくのって軽くていいね,なんだか書くのが楽しいな,という気になりますね。研究者も結局は文筆業だからね。

 

ちなみに,Mac/Linuxユーザだから,コマンドラインでSphinxやReVIEWを導入しやすかったというのがあると思う。SphinxはPython,ReVIEWはrubyで動かすから,コマンドライン必須になる。Windowsの場合はCygwin経由でやるのかな?ようわからん。もうみんなMac使えばいいじゃない。

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