マニア向け

 10時半から始めて、2時間の休憩を挟んで、20時半まで。普通の勤務形態ぐらいの拘束時間をかけて、テストの採点をした。

 受験者数193名(受講者数は200を越える)のテストの採点。
 記号と論述の二本立てということもあって、かなりしんどかった。でも何とか一日で終わらせたぞ。
 今日の日記は「おもしろ回答」です。

 論述の採点をしていて思ったのだが、日本語の教育がなってない。誤字脱字は許してやったとしても、日本語の構文間違いまでは許せない。だってこれ、母国語でしょう。母国語の構文が間違えているのだから、どんなに頑張っても第二外国語はマスターできないですよ。大学生だというのに・・・
 最近テレビのキャスターも、「Aというのは、〜をAといいます」という間違えた日本語を使っている。スポーツマンがプレイの直後に急にインタビューされて、喋り言葉において構文間違いが生じるのは理解できるが、カメラ回ってから撮り直しのきくキャスターがなんちゅー日本語を使うんだ、といつも腹立たしい。
 抽象化して主語・述語の関係を明らかにしたり、一言一句の意味を吟味したり、ができなくなっているんだろうな。
 俺は大学3回生の時に、レジュメで「理論的」と「論理的」を区別なく用いていて、先輩に「全く意味がわからん」と言われた。確かに音は似ているが、内容は似て非なるものである。このときに、パソコンをうつときに限らず、日本語を使うときは気をつけねば、と開眼した。
 語彙能力というのは、だいたい20歳ぐらいまでの間に、どれほどの本を読んだかによって決まってくるものと思われる。最近の学生は本を読まないんだろうな。本を読む人は、大学なんか行ってなくても、とてもわかりやすく、綺麗な日本語を使います。
 ちなみに今、集中講義に来てくれている先生は、カタカナ用語もあまり用いない。おかげでこの先生の本は非常に読みやすい。確かにカタカナで、「アイデンティティを認めた人はリスペクトできる」などと言われると、耳障りはよいが、大概中身がない、あるいは雰囲気だけが伝わって情報が伝わらない、無駄な音である。

 さて、今日は珍回答をお楽しみ下さい(誰に向かって喋っているのか、不明)。問題の内容がわからなくてもいいです。おかしさは伝わると思うので(伝わらなかったらあなたの日本語も間違えています)。「( )」内は私のツッコミです。

 問題a 集団における状態安定と時間安定の関係について述べなさい。

  ★統合度(c)な人数の平方根であるのが一番良い。(意味不明)
  ★時間は人が増えると不安定となり視界が広がると対称的不安定だが状態は視界が広がると対称的に安定。(対称的に安定?対称的に不安定?)

 問題b 人間はどのようなときにコミュニケーションを取りますか。

  ★コミュニケーションを取るときは、それが必要になるときづある。それが必要なときとは、ひとりづはできないので、まわりをたよりにするため、コミュニケーションを計り、助けてもらったり、するために使う。(誤字。「で」か「づ」か判別できない)
  ★・・・それは自分の存在を知らせている。しかし最近は、グループの中でもまた小さいグループがあると思う。(サブグループの存在は、最近の話題ではありません)。
  ★「人間はどのようにしてコミュニケーションを取るか」、私の考えは・・・(すでに問いが違う)
  ★なぜ、人間はコミュニケーションを取るのかを考えたときに、〜という願望が少しはあるからです。(主語と述語の不一致)
  ★〜な人ほど、コミュニケーション能力が強い。(能力は「高い」)

 問題c集団でコミュニケーションがうまく取れないことがあるとすれば、それはどのような原因によるものですか。
  ★コミュニケーションの動機は、周辺的な立場の人が中心的になろうとするため、これがコミュニケーションの動機となる。これが集団内において進むと、集団凝集性が進む。(要約すれば「Aは〜なため、Aである。Bが進むとBが進む。」明らかに同義反復である。ちなみにこの回答、模範回答例として出回っていたようで、数十人が書いてました。全員7点です(20点満点で))。
  ★コミュニケーションではない他のことに集中している状態のとき。(それを言われたら終わりである)
  ★集団の中にいると、その中で自分のいるべき位地の様なものが得られるが、それができないとき。(地位と位置を掛け合わせた造語を用いているようです)。
  ★グループ作業などで不真面目な態度による空気の発生。(集団の化学変化が見られるようです)
  ★バランス機能がないとき、対人魅力がないとき、同調がないとき。
  ★いじめられるとコミュニケーションがとりずらくなる。なぜかというとしゃべればいじめられたひとにしゃべられたひともまたいじめられると考えコミュニケーションがとりづらい。女子の中に一人男がいてもしゃべりかけづらい。(「づらい」が正。「ずらい」て)
  ★集団でのコミュニケーションは、自分の意見だけを言うのではなく、人の意見を聞いてまたそれについて自分の意見を言うというのがコミュニケーションであると思う。(主語と述語の関係が意味不明)
  ★せっきょく極がなく、自分から心を開かない人。(せっきょく「性」?)
  ★(a)心理的原因:みんな仲が悪い (b)身体的原因:リーダーがいない。(身体的原因か、それ?)
  ★自分が集団の中で嫌われたくない、傷つきたくないといった、自己防衛段階の集団。(どんな集団の段階説だ、それ)
  ★柔軟性→ある程度の柔軟性が必要である 安定性→時代についていけない (意味不明)
  ★初対面の人とコミュニケーションとる時ですね。(なれなれしい)
  ★さい眠術により脳がおかされてしまった時。(催眠術こえー)
  ★電源がきれたとき。(明らかにケータイかPCでのチャット等のことを指していると思われるが・・・)

 多少専門用語や授業で使った言葉があったり、授業に影響されている言葉があったりするので、わかりにくいかもしれませんが、読みづらい日本語だということだけはわかっていただけることかと思います。
 ちなみに、上にも書いたけど、この私の授業について、授業ノートというか、模範回答例というか、ワープロ打ちしたノートが出回っていた。受験生のほとんどがそれをもっていたので、一人にお願いして、試験後一部もらうことに成功。その中から面白いものを二つあげて終わりにする。

 用語解説

  ★ビット・・・1ビットとは、ひとつの質問のこと。20の扉という心理学の実験があったが、これは20の質問をすることにより世の中がわかる。(心理学の実験じゃないです(笑)「20の扉」は例え話に使ったんだが。しかし世の中がわかる質問ができたらすごいよな)
  ★正極化・・・プラスになるという意味。(「成極化」が正しい。間違えた語を、間違えたまま説明している)

 最後に今日脳BGM。聞き間違いによる替え歌が頭の中を巡っています。
  ムヒのCMより。
   かゆいところは〜ど〜こ〜
   しずまれしずまれムヒさされ〜
   かゆいところをお洗濯〜