論文の書き方

 簡単な書き方があったら教えてくれ、というのは世の文筆家全てに当てはまる言葉ではないか。

 今日は「心理学実験」の講義。
 この講義では、心理学でレポートを書く技術を教えなければならない。レポート(論文)にするための問題関心に対する心理学的アプローチ方法、心理学的測定法、検定法、レポートの表記方法などを一年間で学生に修得してもらわなければならない。
 本来心理学を教える大学では、四年間全てを心理学漬けにしてしまうものだが、今日の学校は最後の二年間でこの技術を獲得しなければならない。カリキュラム上、一年生から心理学の講義を受けることが出来ないのだ。それだけハイペースでやらなければならないので、こちらも俄然力が入る。
 いきなり90分喋っていたら、声がかれた。久しぶりの講義だったので、まだ声の出し方や力の(適度な)抜き方が思い出せていないようである。まぁこの辺は、徐々に、徐々に。

 学生さんには何度もレポートを出してもらって、それを評価することになるのだが、自分だって論文を書かなければならない。実は三月の頭ぐらいからかいているヤツが、未だにうまくまとまりきらないのだ。作文は嫌いじゃないんだが、どうにも完成形がすっきりしていないのである。で、悩んでいる。早いところ出してしまいたいので。

 そんな折り、そうちょうど昨日のゼミで指導教授から良い読み物を紹介してもらった。
 大学の教授が、どのように学生を指導するべきか、というような読み物なのであるが、その中に論文作成のコツを書いた章があるのだ。ロバート・ホールという人の引用のようだが、ここで孫引きしてみよう。

 ・論点を、主要論点、重要論点、下位の論点、触れたら面白いかもしれない論点に分け、それらを関係づける。
 ・どの論点を先にし、後にするかを決めて、論文構成の方針を立てる。時系列的な順序で論じることは、だいたいにおいて説得力がある。しかし、論理的な順序の方がまさる。
 ・論文をいくつかの節に分ける。節には見出しを付ける。
 ・推理小説風にかくのは有効である。(後略)

 文章技術としては、

 ・各パラグラフは、一単位の情報に限る。メインポイントは、最初か最後に来る。そしてその主張を支持する材料がその間に置かれる。
 ・書き終えたら読み返して、繰り返しや無駄、曖昧な文章がないかをチェックする。
 ・読者は時に、何を読んでいるか筋を見失う可能性がある。(中略)だから、時折、主張を解説する文章を挟むのがよい。
 ・結論の部分を大切に書くこと。
 ・明快な文章を書くこと。自分が文章家だという自信があるのでない限り、長い文章を書かない。
 ・誤字に気をつけよ。

 なるほど!と思わされることが多い。
 この日記なんかは、まさに「雑文」だから、あんまり考えずに気の向くままキーを叩いているが、論文のようなストーリー性が大事なものは、最初のポイントにあるようにウェイトを分けて論文構成図を書くのがよいかもしれない。

 さっそくやってみようっと。

 追伸 昨日気が付いた。今年は履修届を出していない。もちろんもう単位が要らないからだが、実に10年ぶりのことである。

 追追伸 学術振興会への申込書が、PDFとWordファイルで入手できるようになった!やっとこさあの重労働から解放される!