統計ソフトにおけるプラットフォーム戦争の終結

SPSSがバージョン17からRとの連携を深くし、SPSS上からRのプログラムを書いたりできるようになっている。

最近知ったのだが、M-plusもRと連携するパッケージをサイトで公開している。こちらはR上からM-plusを使うことができるようになっている。

もちろんRはフリーソフトウェアなんだが、さてでは、商用ソフトの利点とは何だろうか。

M-plusは明らかに長所があって、カテゴリカルな変数を扱えること、マルチレベルなモデルを書くことができることなど、ソフト屋として一日の長がある。
SPSSは、悪いけど、私の関わりの深い心理学という分野では、Rより優れたるポイントというのは寡聞にして知らない。GUIだということは誉めてやりたいが、これは一長一短、GUIであることの欠点もあるのだ(初学者が形式主義になることなど)。

M-plusはその初期バージョンのころ、いい推定値が算出されなかったという。計算につかう、初期値の推定が問題だったときいた。バージョン3ぐらいから安定し始めたそうな。計算機科学の分野も、行き着くところは職人技みたいなものがあるようだ。それがあれば商売になるわけである。

そして、統計学者としては、自分のモデルがどこから職人技で、どこから科学として批判の目にさらされるべきポイントだと考えるのだろうか。結構微妙なラインで、学会や派閥、流派によってはその基準が違う、ということがあるんだろうな。

とはいっても、有り難いことにRというプラットフォームができた。メーカーはRをしっていさえすれば、自分の新しいアルゴリズムを公開することができるし、ユーザーはRをしってさえいれば、自分のデータにあう分析ができるようになるのだ。Rを使い始めて三年ぐらいになるが、そろそろ宣言しても良いかもしれない。Rが統計ソフトのプラットフォーム戦争に勝ったぞ、と。その裾野の広さをみれば、この結論は決して誇張ではないといえるだろう。

しかし、音楽や書籍の業界で起きているプラットフォーム戦争が、学問業界にも当てはまるとはなぁ。これは流石に、時代と社会の交互作用で、革命的なことだと言わざるを得ない。

そしてもちろん、優れた技術を持っているのであれば、商用ソフトのメーカーも生き残れるのだ。恥じることはない。生き方が変わるだけである。
臨床心理学が生き残り続けるように。

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