非常勤講師控え室にはいると、「[高等教育シリーズ] 成長するティップス先生 (高等教育シリーズ)」という本が置いてあった。大学の先生が読む、シラバスの作り方とか授業運営の仕方を書いてあるマニュアル本なのだ。
シラバスを作るときの参考にして下さい、というのだ。閲覧用なので持って帰るのはダメだそうで、ヘェと思ってパラパラ読んでみた。
なかなか面白い。授業運営に悩んでいる人は、読んだらいいんじゃないかしら。
などと偉そうなことを言わずに、俺も読んで、出来てないところは反省しておくべきなのかなぁ。むむ・・・。
本の作りとしては読みやすかったので、ブックデザインをどこかで真似したいな、とは思いましたが。
それにしても、なんでもマニュアル本が出るご時世なんだねぇ。就職マニュアル本とか、性の手引き書みたいなもんは、まぁあってもいいけど、専門的すぎて余計なお世話というものもある。
例えば大学院に行くマニュアル本。・・・昔は口コミでというか、先輩に教えてもらうものだった。もっと言うと「どうやって」進学するか、ということに悩んで本に頼るようなヤツは、進学しなくて良い。
あと、腹が立つのが、本を選ぶマニュアル本。「この本が面白い」とか、「このミステリがおもしろい」といったタイトルの本を、最近よく見かける。しかし、自分の好みの本なんか、トライアル&エラーで見つけていくもんだろう。誰かに教えてもらってどうする。
他にも色々あるけれど、おそらくこんな世界になったのは、二つの原因が考えられる。
第一。個人的要因として、「信念」を持った人間が減ってきたこと。個性が減らされてるんだな。
第二。社会的要因として、失敗したヤツを執拗に追いつめて、逆に得してやろうといういやらしい発想が蔓延していること。このケースで言えば、『成績が悪かったのは、授業が悪かったせいだ。だから授業料を返せ!という難癖をつけたら、ひょっとしたら裁判で勝って、賠償金がもらえるぞ』という考えがないとも限らない。というか、むしろこの発想が生じる土壌は、十分すぎるぐらい育っている。で、責められる側は、最低限ここまでやっていればいいよね、という了解がどこかに欲しい。だからマニュアル本に・・・
いやまぁ、上手く生きていくつもりではありますが、妙に生きにくい世の中になりつつあるなぁ。