興奮

 興奮すると、なかなかさめやらぬものである。

 今日の非常勤でのお話。授業中、ずーっと喋っている子達がいたので、我慢ができなくなり、「お前らうるさいから出ていけ!」と言ったのである。
 タイミングも微妙に悪くて、授業終了15分前。ほとんど終わりかけていたのだが、どうにも我慢できなくなった。授業中再三注意していたし、なによりこいつら、先週も同じような態度で受講しておったのである。
 やかましい教室を静かにさせるのは、極力したくない。「先生は優しすぎる」と言われたこともあるが、適度に反応があって、盛り上がるのはいいことだと思っている。最近の子は、(昔の俺みたいに)座っているところから大声で先生に反論したりしないものだから、その場でザワザワとすることはあるか、と思ってほったらかしているのだ。
 しかし、今日はさすがに堪忍袋の緒が切れた。

 とまぁ、威勢良く「出て行け」とは言ったものの、これがなかなか困ったもの。こちらも興奮さめやらぬので、すぐに授業に復帰できない。言われた学生も、怒ってさっさと出ていってくれればいいのに、「え、わたしら?」「ほんまにでていかなあかんの?」みたいに顔を見合わせて、ダラダラとそこに居残っている。何度か「出て行けと言ったら出ていけ」などと追い打ちをかましたので、よけいに気持ちが落ち着かない。

 そもそも私は、基本的に攻撃性能が劣っているようなのだ。少なくとも、男性の平均よりは低いだろう。腹が立って怒ることがめったにないから、こうなると怒っている自分をもてあますのである。
 五分ほど無駄な沈黙があって、あわてて残りの講義をする。おかげでいくつかのトピックに触れることができなかった。

 さらに困ったことに、次の授業でも、怒りモードが残っているのである。教室が変わっているので、怒りの感情を残していてはいけない、と思うのだが、授業が始まる前のざわついた感じでさえ癪に障る。
 仕方がないので「阪急の電源オフ車両。はらたつよなぁ!」という話題を導入部分に持っていき、なるべく気持ちを晴らすよう努力した(転移?)。

 授業に対するやる気も失せてきたので、(本当はイカンのだけど)授業は少し早い目に終わって、さっさと帰ってきた。

 帰り道、最寄り駅から自転車で帰る途中、自転車のランプが消える。
 駐輪所についてから確認すると、直したはずのランプがカバーや電球ごとゴッソリ無くなっている。どこかでカバーが外れ、前輪に巻き込まれて吹っ飛んでいったんだな。きっと踏切を渡ったときだ。
 それを見て、また腹立たしい気持ちが帰ってきた。

 妻になだめられて、何とか落ち着きを取り戻す。

 夜は試験問題を作ろうかと思っていたけど、この気持ちのまま問題を作ると、やたら難問ばかりできそうだ、と思ったので、地道に出席をつける作業に変えた。ずっと出欠は取っているのだけど、全然記帳していなかったので、山のように溜まっていたのである。あーめんどくせぇ。

 でも、こういうことをやっていると、前期シーズンの終わりが近いな、という気にもなる。早く来い来い夏休み。<気が早い