卒論発表会

今日は卒論発表会の日である。

四回生が卒論を書き終え、その成果を先生、院生、三回生の前で披露するハレの日である。
「披露する」といっても、昨年末からしょっちゅう学部生に相談を受けているので、だいたいの内容は想像がついてはいるのだが、それでも年末・年始、我々院生を含めたスタッフの目に見えないところで彼・彼女らが努力し、ひとつの作品を作り上げたのだから、と思うと、こちらも襟を正して発表を聞こう、という気になる。

この業界のことをよくご存知ない方のためにコメントしておこう。

日本には心理学部というのがない。
普通、文学部や教育学部、社会学部の中に、心理学科として含まれている。
私の所属する大学では、社会学部の中に社会心理学ゼミが開講される、という形だから、学生は1〜2年生の間は社会学、もっというと社会科学一般の勉強しかしてこない。
心理学はそれら一般の社会科学とは違って、論文を書く方法、書式など、独特のスタイルがあるのだが、ゼミに入ってくる学生は、3〜4年生の間にその方法論を修得しなければならない。
これは、統計などの知識がいるので、実はたった二年でやるのはとても大変なことなのである。

教授の側は、その学会に認められた手順、方法などを厳密に学部生に求めるが、学部生の理解がそのレベルに追いつかないことがほとんどであり、そのようなとき先生の言葉を翻訳して学部生に伝える係として、大学院生というサブ・スタッフが必要になるのである。

今年の学生は、年末押し迫った頃に「分析合宿」を行い、夜通しパソコンを叩きながら卒論に必要なデータを算出していた経緯もあって、なかなかに思い入れ深い学年であった。

卒論発表会も滞り無く進み、玉石混合という感は否めないものの、とりあえずこれでこの子達も巣立っていくのか、と思うと肩の荷が下りた思いである。

・・・というのが、今日の深酒の言い訳である。
さぁ来年度も楽しませてもらおう。