現代社会の経済的側面を論じている本で、非常に分かり易く、かつ納得できることが書いてある好著。帯には20万部突破!とあるが、この本はもっと多くの人に読まれなければならない、と思う。
内容はサブタイトルが全てを表しているので、あらためて言及する必要もないぐらい。しかも、読み始めて間もなく、第一章の2ページ目で、本書を貫くテーマが太字で書いてある。こんなに早くネタばらししていいのかよ、と思うぐらいストレートだ。
その後の、問題点の整理、他の論調に対する反論、今後に向けた提言などは全て納得できる。
まぁこれが納得できるのは、本書が訴えている「もっと若者の育児世代に金を回さないと内需拡大しないぜ」ということであり、ちょうど俺等世代に金を回してほしい、ということでもあるから、俺等が賛同するのは当然とうけとめられよう。更にいうと、世間の多数決をとると、人数では圧倒的に多い年寄り世代が反対するだろうから、勝てない。まぁそれが結局、諸悪の根源だという話なのだけど。
まぁ人間、美しい引き際というのが一番大事だ、というポリシーをどれほど共有できるか。あるいは、数世代にわたる責任の取り方、というのを意識できるかどうかだろう。
政治家が老人ばかりのこの国では、当分望むべくもないが。
最後に余談。
この本で主張することの一つに、失業率とか出生率という「率」で語らずに、絶対数も見ないと本質がわからないぜ、ということがある。
これはまさに、統計で言うところの、有意差で語って実際の差で語らない愚と同じ。数千のサンプルをとって、有意差が出て、その差が0.05ポイントだってことなんか、少なくないからね。
自戒も込めて、書いておきます。