大学の不思議

大学業界で生きていると、不思議なことがいろいろあるが、その中の一つ。給与体系。

たとえば今回、非常勤に出かけたのだけど、あれがナンボの仕事なのかは事前に明らかにされなかった。今も知らない。

正確に言うと、恩師から照会をうけ、受諾し、シラバスを書いて、給与振込先を伝えただけで、「労使契約」を結んだ覚えがない。
就職するときもそうだ。給与については「本学の内規に従う」みたいなことは書いてあるけど、“本学の内規”とやらはその大学の中に入らないとみられないし、見たところで自分がどのランクなのかはわからない。聞くのは無粋かな、と思うのだが、契約ってそういうもんじゃないだろう。

さらに気持ち悪いことに、先方はこちらの顔を知らないと言うことだ。初日、朝、「○○大の△△です、よろしく」と学務に挨拶に行って、「あぁよろしくお願いします」と言われて仕事(?)がスタートしたのだけど、ハッキリ言って自己申告ですよ、あれ。別人が来ていても気づかれないんじゃないか。そのくせ出勤簿には名前が準備してあって、ここにはんこをおせという。信用があるのかないのか。最終的には成績をつけなければならないのだけど、「俺しーらね」とかいって逃げられたら、どうするつもりなんだろうなぁ。
もちろんそんなことはしないけど、結局のところ、私の「誠実さ」にかかっているわけです。そんなに信用できるものなのか・・・。

一方で、出向くこちらにも不安はあるのです。みたことのない場所に行くので、本当にそんな大学があるのかどうか、あっても本当に俺を呼んでいるのかどうか、わからんわけですよ。車で向かいながら、「実はどっきりでしたー」とか、「あれ?マジできたの?超ウケるんですけど!」とか言われたらどうしようかな、と思いながら行くわけです。現地に着いたときの第一印象は、「あ、ちゃんとあるもんやな、この大学」だったもん。

まとめると、行く方はあるかないかわからないところに、いくらの仕事になるかわからないことをしに出向き、迎える方は誰だかわからないヤツに仕事を任せ、はんこを押させ、支払いをする。学生はそれっぽい人が来てそれっぽいことを言うので、学生っぽく受講する。それっぽい人がそれっぽくなるように成績をつけてくださいますよう、と期待したりされたりしながら。

システム全体としてはそれでうまくいってるんだけど、危ういと思わないのか。

とりあえず、振り込まれた額をみて、自分が何者であったかを知ることになるのでしょう。