おれのキクチ

研究室は19インチと24インチの二画面体制になっていたのだが、どうもサイズ、輝度のあたりで違和感を感じるので、思い切ってもう一台同じ24インチを買ってみた。LGのFLATRON W2486L。薄くて綺麗で気に入っている。

さて、いつも近所のパソコン工房に頼むのだが、そこの営業さんがどうもヘタレだ。仮にキクチと呼ぶことにするが、彼は商売をする気がないのではないか、という気にさせられる。

まずは書類を作るのが遅い。思いっきり遅い。目の前で、これのスペック表を見せてくれ、といっているのに、作成に優に二十分はかけてくれる。
確認して、じゃあ正式に注文しますよ、というと受注に関する書類を作るのにさらに数十分かけてくれる。

特に困るのが時間の概念で、いつまでにできますか、いつ納品できますか、といっても常に答えは「えーっと・・・」「ちょっと・・・」「調べてから・・・」。

電話をかけても、平気で居留守を使うし、伝達事項の確認もしようとしない。

そんなキクチがいやになったので、大学の財務部経由で発注した。
が、なぜか財務部がパソコン工房山口店を選び、担当がキクチになってしまった。やれやれ。

注文から二週間はたっただろうか、持って行きますという電話があった。
いろいろいやなことはあったが、もう今日で終いや、全部ぐっとこらえよう、と思っていた。それが昨日。

四時にくると言っていたのに、来たのは四時半。ちょうど学生の相手をしていたので、モニタはそこにおいといてください、自分でやります、と受領印だけ押してキクチを帰した。そもそも、隙あらば早く帰ろうと思っている節があるのだが。

で、学生も帰ったので、いよいよ・・・・と取り出し、セッティングを始めた。ところが、台座がおかしいのである。台座にモニタを差し込んでも、やたらとぐらぐらする。止め方が緩かったか?と思ったが、そういう問題ではなかった。首の金具がきちんと付いていないのである。これはもうメーカーの問題、明らかに物理的な初期不良である。

仕方がないので、電話した。

「すいません、キクチさんお願いします」
「いまおりませんので、折り返し連絡させます」
「あぁ、じゃあまだ大学にいるのかな。さっき来てもらったばっかりなので。携帯か何かで、こちらに来るようお伝え願えますか」
「・・・すいません、おります。奥で手が離せなくなっております。また折り返し連絡させます」

イラッ。

電話がかかってきた。
「はい何でしょう」

イラッ。毎度どうも〜とか、いつもありがとうございますとか、まず挨拶あるやろ。

「あ、先ほど持ってきてもらったモニタ、明らかに初期不良です。取り替えてください。」
「どういった症状で・・・?」
(説明)
「ということなので、すぐに取り替えてください」
「えっと、いま手が離せない状況で・・・そちらに行くのは明日に・・・」

ムカッ

「明日のいつですか!早く来て下さい。すぐ来てください」
「じゃあ、午前中・・・」
「何時?!」
「十時頃に・・・」
「十時に来てください。朝から来て研究室で待っておりますので!」

ということで、二台目のモニタを大事に横に置きつつ(来るまでに、こけて壊れたらまずいからな、という配慮をしている自分もまた腹立たしい)、今朝を迎えたわけです。

キクチが来たのは十時半で、別に謝るつもりもないようでした。

手に持っていたのは台座。

「台座がくっつかないので、そういう問題じゃないです」
「一応見せてください・・・あれ・・・あれ・・・?」
「いやだから、止める金具が付いてないのだから、台座を持ってきてもどうにもならないでしょう!」
「あ、じゃあ、すぐ持ってきます」
「いつですか」
「発注はしてあるので、週明けの火曜日・・・」

同じ台座を持ってきているのに、どうして火曜日になるのだろう。お店にある、同じ商品の台座だけ持ってきたのではないのか。
しかしスケジュールが押しているので、ここでけんかしている暇はないのだ。

「火曜日の何時?!」
「十時には・・・」

そして彼はきっと、十時半頃にくるのである。今日のあいつは機嫌が悪かったのかな、という適当な帰属をしつつ。

そういうとこやぞ、キクチ。