「ふーちゃんねー、結婚する」
夕食時に、突然娘が言い出した。来た。いよいよ来た。この時期が。
心を落ち着かせながら聞く。
「誰と?」
「おとーさん」
来た。まさにこの瞬間だ。
いやまて、一旦確認しておこう。
「結婚というのは、好きな人とするもんだよ」
「おとーさん、だーいすきなんだー」
おおう。完璧だ。いよいよ間違いない。
かねてからの計画を実行せねばならぬ。
「おとうさんは、お母さんと結婚しているから無理だ。」
「・・・?」
きょとんとしているようだ。
言葉を足す。
「結婚というのは、一生に一回しかできないんだよ。お父さんはその一回を、お母さんと使ったんだよ」
とどめになっただろうか?
「まだ結婚してないお友達を捜して、結婚しようと言いなさい。お前ぐらいの器量があれば、すぐに相手は見つかろう」
「うん。」
よし、エディプスコンプレックスの作成と、子離れ、成功。