「ホームレス中学生」を買って、読みました。田村は苦労しただろうから、印税に少し協力してやろうという姿勢で購入。タレント本らしく、一晩で一気に読めました。
まー、えぇ話だと思います。読みながら、二回ほど涙がこぼれたなぁ。最近とみに涙もろくなりました(笑)
文章としてはつたないし、キャラクターとしてはよく言えば純粋、悪く言えばアホですよ、田村少年。でも彼の、前向きに頑張ってるなぁという感じと母への思いがあたたかい読後感を与えてくれます。
本書のメインテーマでもある、彼のアイデンティティ・クライシスは、なかなかよい話で、なるほど思春期の子どもにありそうな心身発達段階に、特殊な家族イベントが加わるとそういう発想にもなるか、という意味で心理学の勉強にもなりますな。
それにしても、人生の、坂道を転げ落ちていくときのリスクに比して、平穏な日々の「なにごともなさ」といったら!
絶妙、というしかないほど良くできたゲームバランスだと思いませんか。
怖さを見積もることと、幸せを感じることの、両方をうまくできるようにしないと人生の達人にはなれないのだろうとおもいます。
また、不幸をどういう理由付けにしてもいいけど(現代社会だとか目に見える他者だとか先祖の霊だとか)、幸福のほうをきちんと自分とその周りの人に還元すべきだ、とも思います。田村少年がそうしたように。
わかりやすく、読みやすく、幸せを見つめ直すことのできる良書だと思います。
できれば映像化しないで欲しいですけど。したとたんに嘘くさくなりそうなところが嫌だなぁ。
しかし、私は容赦なく厳しいので、キャラクターの生い立ちがどうであったとしても、それと麒麟としての芸を評価するのは別です。
麒麟としての田村はもっと頑張れ。いつまでも川島の声ネタだけではやっていけないぞ。