「星新一 一〇〇一話をつくった人」を読む。敬愛する、故・星新一の伝記。
作者はどうも最近、星新一の虜になっているようで、星先生に対する愛情が伝わる、いい伝記だと思います。
読み終わって思うのは、俺ってかなり星先生に影響されて生きてるんだなぁ、ということ。
感性が近いというのか、感性を与えてもらったというのか、とにかくあれも、これも、みなこの人の影響下にあるのではないかと思えてしまう。
小学六年生の時、試験問題として「おーい でてこーい」に出会って以来、こんな短い長さで(試験の長文問題)ストーリーが全て完結していることに驚いて、文庫本を買い集めてきました。おかげで文章の読み方、書き方は勿論、多感な人格形成期にすばらしい影響を与えてくれたのだな。
星先生の楽しんだといわれる、「合成ことわざ」がまたオモシロイ。先日の私の駄作など、比にならない。
いくつか挙げておこう。
命短し たすきに長し
これは妻が大爆笑しました。
あるいは、先日のパーティーで言ってたのですが、
一姫二太郎三茄子
なんかは私も大好きなネタです。
シュールで、知的で、ユーモラス。なかなかこういう考え方、文章、生き方ができる人は少ないだろうなぁ。
星先生はかなり紳士的で、かつ結構どぎついジョークを言う人だ、という話は聞いていたが、この本を読んでもう一つ、意外と熱い人だったのではないか、と思うようになった。これだけの人だが、ほとんど賞という賞はもらっていない。それが悔しくて、悔しくない境地まで行ったけど、やっぱり悔しくて、というコンプレックス=複雑な気持ちを持っていたようで。それが哀しいやら、愛らしいやら。
あらためて、星作品を読み直そうかな、と思っています。