「日本人と組織 (角川oneテーマ21)」を読んだ。
恥ずかしながら、著者である山本七平というのは知りませんでした。イザヤ・ベンダサン*1だったのですね。
なるほど、鋭い視点をお持ちだ。社会学者になるんだろうか?ともかく、切れ味鋭い思想にふれると、うーんと考え込みます。
中でも一番よかったのが、「マニュアル化」ならぬ「索引作り」のススメ。
マニュアル化してしまうとどうしても組織が硬直化するのだけど、昔からそういうのは傍注・脚注など、応用面で機敏に対応できるようにする知恵があったということは、意義ある指摘だろう。昨今のマニュアル主義も、そういうゆとりを置く臨機応変さが求められているように思う。
また同時に、日本人は索引作りがヘタだという。失敗した事例を隠すのではなく、タグをつけてきちんと保存しておくことで、後々同じような問題が起こったときに対応できるようになる。これなんかは、現代の検索知識社会に非常に有用なポイントだろう。
組織の運営にとって、正しい数字・データを、必要に応じて引っ張り出してくることは、生き死にに関わる問題である。こういった蓄積を無視して、ロゴスやエトスだけで運営できないのがこれからの社会のあり方であり、結局「人」の問題になるのだろう。バランス感覚、ロゴス、カリスマ性などが一個体のうちに集約され、なおかつよい適応関数を持っている=うまい出力ができること、が求められているのだと思う。
*1:「ユダヤがわかると世界が見えてくる」などの著書で有名。このペンネームは”さあトイレに行きましょう”の意。