預言者ムハンマド (PHP新書)を読んだ。
イスラームの情報は、普通に日本で生きているとあんまり入ってこないんじゃないだろうか。世界三大宗教の一つなのに、キリスト教に比べてどうにも情報の輸入量=理解度が少ないと思う。という反省から、いい入門書があればと思っていたのだが、新書であったので読んでみた。
文章や構成はそれほど読みやすいモノではない。アラブ名がわかりにくいというのもあるが、少し情緒的に書きすぎているところが散見できるのだ。みれば、著者はイスラームに帰依している人で、情緒的にもなっちゃうんだろう。もう少し淡々と事実だけを書いていて欲しかったな。そういう意味ではコラーンの解説書みたいなものを読むべき何だろうか?
割と前半で、「預言者」についての話が出てくる。予言者じゃなくて、預言者。未来をあらかじめ言うのではなくて、神からの神託を受けて言う者。この預言者、コラーンによれば次のような順で人の前に現れた。
- アダーム…アダムとイブの、あのアダムです。以下、アラブ名じゃなくてキリスト系の名前で言います。
- エノク
- ノア…ノアの箱船のノアです。
- フード
- サーリフ
- アブラハム
- イシュマエル
- イサク
- ロト…そして伝説へ。じゃなくて、ソドムの町に遣わされた者。
- ヤコブ
- ヨセフ
- シュアイブ
- ヨブ…旧約聖書「ヨブ記」の主人公。
- ズルキフル
- モーセ…ヘブライ人を率いてエジプト大脱出をした人。十戒を授かったり、海を割ったりしたことでも有名ですな。
- アロン
- ダビデ
- ソロモン…やらせはせん、やらせはせんぞぉぉぉ!ではなくて。後にコンペイトウと改名することもない。
- エリヤ
- エリシャ
- ヨナ
- ザカリア
- ヨハネ
- イエス…パレスチナ、ナザレの人。というか、イエス・キリストの名称で有名ですな。キリスト教系では神の子といわれるが、イスラームでは預言者の一人という位置づけ。
- ムハンマド…最後の預言者、とされている。
これを見てわかるように、ユダヤ、キリスト、イスラムは同じような歴史のもとにあるわけで。多分、二分心を持つ人の存在と歴史的事実の伝説化によって、ヨーロッパや中東の歴史は紡がれている。それでいて、現代社会では全く別の様相を呈しているというのも面白い。
というか、恥ずかしながら私、イエスの次にムハンマド、という同系列に並べるマナー?すら、この本を読むまでしらなかったのですよ。
宗教にしては比較的遅く興っていることも面白いし、他書で読んだが、生活上の作法や生きる上での知恵のようなものにまで細かく言及しているというところも面白い。
翻って、贅沢を尽くした凡人が悟りを開いて興した佛教というのも、そういう意味でかなり特殊。残りの二つは神様がいて、凡人は契約しているだけなんだけど、佛教はどうかすると神の世界に行けるのだからね(解釈間違ってたらゴメンナサイ)。
教養として、知っていても損ではない話だと思います。皆さんも一度読んでみては。