なぜこの方程式は解けないか?

なぜこの方程式は解けないか?―天才数学者が見出した「シンメトリー」の秘密

なぜこの方程式は解けないか?―天才数学者が見出した「シンメトリー」の秘密を読みました。
シンメトリー、というのは自分の研究キーワードだと思っているので、それに関する本は片っ端から読もうと思っている。その流れで手にした一冊。

結論から言うと、それほどいい本じゃないのですよ。
シンメトリーとはなにか→方程式と関係あるんですよ→群論が出てくるまで→群論の適用範囲は。という流れ。最初の二段階はよくわかる。図形的なシンメトリーで客を惹きつけ、それが方程式と関係がある?なんで?と思わせて先に進むというのは、本の構成としていい方だろう。

しかし、そのあとがイケナイ。

群論が出てくるまで、という話の流れで、アーベルとガロアの伝記が入ってくるのだ。いや、面白い人生だと思うけど、でもそれはねぇ。しかも、決闘で死んだガロアについて、犯人は誰だという推理までやってる。話が横道に逸れすぎじゃありませんか。

群論の適用範囲についても、相対性理論から進化心理学まで、幅広く射程に入れているんだけど、もとが可換群の説明しかしてないのに、「これの応用でできるのです」とだけ書いてある。どうやって応用するんだよ!!感覚的にじゃなくて、しっかりわからせてくれよ!

いや、それを説明し出すと読み物じゃなくて専門書になるから、ってのはわかるんだけど・・・。期待させておいて、それはないじゃない。これでわかった気になった人間が続出しても、メリットはないぞ。

読み物としてはまぁ合格なんだけどね。アーベルやガロアの生き様に、結構感情移入して、ページを次々めくりたくなる衝動に駆られたからな。でもトータルで、合格点はあげません。

誰か、群論についての良書、ご存知でしたら教えて下さい。