階層線型モデルの話は、ある程度予備知識があったので、途中から聞いても十分納得できた。
やっぱりこれはいいモデルだ。
心理学の実験において、被験者間要因よりも被験者内要因のほうがたくさん情報が手に入るということを、どれほどの人が知っているのかは知らないが、そうなのですよ。で、個人内の変化を統制しつつ、個人間の回帰モデルを構成できるというこのモデルは、社会心理学にも絶対有効なモデルなのだ*1。是非つかってやろうと思います。
傾向スコアの話はもっとオモシロイ。極端な表現になるかもしれないけど、これとIRTがあれば無作為サンプリングなんていらないね!(笑)だいたい、正規性のある人類全体を母集団として無作為なサンプリングを、ってな心理学の仮定が不自然なのだったのだよ。仕方がないからそうしていただけで。傾向スコアは、要するに条件群と統制群に分けたときに、多くの共変動データから「条件群らしさ」あるいは「条件群に含まれる確率」を表すスコアを算出し、それを調整変数にして分析に埋め込むというものだ。これは・・・使えますよ。いろいろ。よだれが出そうです。
SEMの話がまたオモシロイ。
平均は一次のモーメント、分散・共分散は二次のモーメント、ゆがみ度は三次のモーメント、とがり度は四次のモーメントという。一次のモーメントについての構造分析が分散分析である。二次のモーメントについての構造分析がいわゆる共分散構造分析、SEMである。じゃあ三次、四次のモーメントに基づいた構造分析があり得ないか、というのがお話の根幹。三次のモーメントについての構造分析というのはあり得て、これを使うと二次のときでは十分にできなかったことができるようになるという。例えば、XからYの回帰とYからXの回帰のどっちがよいも出るかという評価ができるようになったり、二つの顕在変数から二つの潜在変数を導出できるようになったり、XからYへの回帰とYからXへの回帰を同時に行ったりできるそうだ。考司のモーメント情報によって使える変数はぐっと増えるが、それに比して解くべき方程式のほうはそれほど急激に増えないのでできる技だ。ね、オモシロイでしょう。
勉強になった二時間でした。