失言問題とユーモア

柳沢厚生大臣の失言問題がややこしいことになっている。
ことの始まりは、次のような発言。

なかなか今の女性は一生の間にたくさん子どもを産んでくれない。人口統計学では、女性は15〜50歳が出産する年齢で、その数を勘定すると大体分かる。
ほかからは生まれようがない。
産む機械と言ってはなんだが、装置の数が決まったとなると、機械と言っては申し訳ないが、機械と言ってごめんなさいね、あとは産む役目の人が1人頭で頑張ってもらうしかない。
(女性)1人当たりどのぐらい産んでくれるかという合計特殊出生率が今、日本では1.26。2055年まで推計したら、くしくも同じ1.26だった。それを上げなければいけない。
(2007年1月30日06時00分 スポーツ報知)

この発言の中盤をとりあげて、女性を機械や装置に取り上げた、何という女性蔑視だという声が野党からあがった。柳沢さんは辞任せよと迫っているのである。

もっとも、その反応がややヒステリックすぎないかということで、様々なコメンテーターが反論している。

「比喩としては問題あるかもしれないが、『女性が子供を産む機械』だと言おうとしたわけじゃない。生まない人、生めない人のことを何も批判している言葉でもないのに、皆が(柳沢大臣の発言を)逆手にとって『生めない人は欠陥なのか!?』、とか、国語力がそんなに日本国にはないのか!」(橋下徹弁護士)

「野党が批判して辞任要求、そんなことをやってる前に国防含めて国会でやることがあるだろう。メディアも騒ぎすぎで、すごい幼稚な気がします」(ジャーナリストの大高未貴さん)
「全然気にならなかったんですけど。これまで大きな問題になるのか、とビックリして。問題発言ではありますが、そんなこと本気で思っている人いないですし」(タレントの眞鍋かをりさん)
「私達は何とも思っていないのに」(医師の西川史子さん)

結局野党は、予算の会議を審議拒否。愛知と北九州の知事選では与党と野党が一勝一敗で、柳沢発言が影響したとの味方もある。国会では、野党不在のまま予算案が採択された。多数決の原理からいって当然である。

落ち着いたかと思いきや、柳沢大臣は今日また失言したようだ。

(記者) 少子化対策は女性だけに求めるものなのか、考えはいかがか。
厚労相) 若い人たちの雇用形態が、例えば婚姻状況などに強い相関関係を持ち、雇用が安定すれば婚姻率も高まるような状況なので、まず若者に安定した雇用の場を与えていかなければいけない。また、女性あるいは一緒の所帯に住む世帯の家計が、子どもを持つことで厳しい条件になるので、それらを軽減する経済的支援も必要だろう。もう一つは、やはり家庭を営み、子どもを育てることには人生の喜びのようなものがあるという意識の面も若い人たちがとらえることが必要だろう。そういうことを政策として考えていかなければならない。他方、当人の若い人たちは結婚をしたい、それから子どもを2人以上持ちたいという極めて健全な状況にいるわけだから、本当にそういう若者の健全な、なんというか希望というものに我々がフィットした政策を出していくことが非常に大事だと思っている。

これが、社民党福島みずほ氏に言わせると「子供が2人以上いないと不健全なのか」ということになるらしく、さらに攻撃していくようだ。

一方、社民党のトップページに、あり得ないような誤変換が掲載されていたことが明らかになった。今は改訂されているらしいが、ネット魚拓があったので、そこから引用する。

■トピックス 2月5日〈月曜日)街頭行動を行います。

■17時  永田町・参議院会館前にて
 柳澤厚生労働大臣の解任を求める国会前緊急アピール
 よびかけ人
 民主党 円より子
 共産党 吉川春子
 社民党 福島みずほ
 国民新党 後藤博子
「子どもを埋めたい人の気持ちは?」「安心して生み育てらる社会なの?」
たくさんのご参加をお待ちしています

「埋めたい」って(笑)一見して誤変換とわかるのだが、言葉尻をとらえて議論しているさなかに、この書き間違えは致命的じゃないか。

もうこの一連の流れが、ジョークのように思えてきた。壮大なお笑いである。
こんなことで国会を停滞させるんだもんなぁ。まじめに政治やってくれよ、トホホ。

個人的には、失言をする人間は悪いヤツではないと思うので好きだが、政治家の重要なポストにつけるのはちょっと怖い。ので、更迭はしてもいい。が、発言の文意を抜いて、単語だけ取り出してギャーギャーいう社民党とマスコミの態度は嫌い。意味のない審議拒否をする民主党も好きになれない。

知り合いの道端さんが面白いコメントを書いている。産む機械発言で問題になっていた選挙戦に、モーニング娘。が来たという。彼女らは「Loveマシーン」という歌を歌っているのだが、それはいいのかと。
人間、これぐらいウィットに富んだユーモアが言えるようになりたいものである。

ということで、失言のような些末な問題は水に流して、早く本当の仕事、本当の政治をしなさい。