忘れない,恋心

最近,恋愛を特にしたいと思わない若者によく出会う。

男女が二人になれば,何かしら可能性があると思って生きてきたが,「全く何もない,考えられない」という声をよく聞くようになった。

学生の頃,指導教員が「人生のエネルギーの半分はゼミ,半分は異性にかけろ」と言っていて,その言葉に従って生きてきた人間としては,最近の若者のその感覚が理解できない。

今の学生が,20年前と違う社会状況に置かれていることは理解しているつもりである。生まれてこのかた好景気を感じたことのない世代だとか,大学の縛りがきつくて忙しかったり,経済的な理由から(ブラック)アルバイトに振り回されたり,リアル社会だけでなくSNSのようなバーチャル世界も含めて,多層レベルでの多面的なバランスをとらなければならないストレスがあったり。

とはいえ,恋愛の根本は生理的な反応=性欲に基づいているものだと思うし,そういう種のレベルでの命令を個体レベルの意識が押さえこめる,というのは理解できないのだ。
もちろん向こうも汚れた青春を送ってきたこのおっさんの感覚なんかわからないだろう。

恋愛の根本が性欲だと言ってしまうと反論があるかもしれない。社会心理学的に,親和欲求であるとでも言っておいたほうがいいか。
しかしそれにしても,相手のことしか考えられなくなって興奮して眠れなくなってデートしている時の幸福感があって・・・という認知機能がバグっている(故ミンスキー博士)状態は,制御できない本能的なものであるのではないか。

この仮定をも疑うとすると,心理学はいろいろ見直さないといけないことがあるんじゃないか。
私にはなかなか疑い得ないのだが。

先日深夜の飲み会で,隣の席の男の子がこっちのパーティーの女の子に声をかけてきた。その時の安堵感といったら。