Kosugitti's BLOG

アンドロイドは正規分布の夢を見るか

この画面は、簡易表示です

2013

2013年の10大ニュース

今年ももう大晦日になってしまった。
早いものですね,と言いたいところだけど,この一年のブログをざっと読み返してみると,あんなこともした,こんなこともあった,と結構いろいろやってるので,そりゃあ時間も経つわなあ,というような気がしている。

ではいつもの,「自分がどの程度変化したか」を確認するための,俺的10大ニュースまとめ,やります。

  1. M-plus本の執筆・編集・出版
  2. 中四国心理学会を運営しました
  3. 学務厚生部のお仕事も二年目になりました
  4. メトリシャンへの目覚め
  5. スライサーで右手人差し指を怪我して救急にいったこと
  6. 末っ子がビーズを鼻につめて救急に行ったこと
  7. 年末に子どもたちがノロウイルスにやられて帰省がなくなったこと
  8. 二度の夏風邪,冬の発熱—体調管理が下手になったか?
  9. Rのセミナーを三回やりました
  10. 北海道,北海道,沖縄。

ひとつ目はこれ。間違いなくこれ。私が執筆・編集を担当した本,「M-plusとRによる構造方程式モデリング入門」が出版されました。といっても,店頭に並ぶのは年明けで,1月から執筆開始,5月から編集,7,8月の校正,10月の二校,を経て12月27日に手元に届いたという,ほぼ今年一年丸ごとのプロジェクト。手に取ってみると,結構分厚くて,これで2500円は安いだろうと思います。執筆や編集に時間がかかったのは,M-plusのコード,Rのコード,それぞれの出力,をフォントや飾りを変えて表現したことと,動作確認の繰り返しで手間がかかったことだなあ。でもおかげで,いいものができたと思うので,多くの人が手に取ってくれることを期待します。

2位は学会の運営だねえ。自分の大学でやる,というのは失敗がないようにしないといけないから,気がせこい。つまり,常に「手配が足りていないところはないか」「マンパワーが足りないところ,余っているところはないか」ということを考えているので,心理的にはずっとせわしなく,何かにせき立てられている気持ちなわけです。システム論の実践としては勉強になるんだけど。実際は夏休み明けから学会仕事が増えてきて,本の校正とも時期がかぶってきたので,それにかかりっきりでした。

3位は大学での,学部運営のお仕事要員なのです。二年目ということもあって,入試も経験し,会議の議事録を取るようになり,一年目の人になるべくうまく引き継げるよう様々な仕事をやります&やってます。年明けの入試イベントが終われば,お役御免となるので,来年は何の仕事もしたくない。

というか,ここまでの1,2,3のことがあったので,自分の研究をアウトプットする時間がないんですよね。端的に言って,論文を書いていない,書けていない。来年は論文を書く年にしたいです。

そんな中,決して研究のことを考えていないわけではなくて,自分の中では割とはっきりと自覚できてきたことがある。自分がメトリシャンになりたいんだということです。春に空間統計学の研究会を開き,秋に行動計量学会におもむき,社会心理学会では空間統計学+ソシオメトリックデータの分析で発表したんだけど,一番自分が面白いなあと思えるのは行動計量学会だし,どうせなら目に見えないものを面白く表現することが,研究としても面白いんじゃないか。手法の限界を断った上で,なんなら不適切な使用例にまで言及しつつ,でもこういうことができるぞ,と前向きになれる。そんな学問のやり方の方が,性に合っているような気がする。来年に向けての研究アイデアもいくつかあるし,来年はしっかりと研究者に回帰したいですねえ。

5,6,7,8は自分と家族の健康に関する問題。7月頃に子どもを遊ばせていて,スライサーで人差し指を擦ったのは痛かった。傷があるなら縫えばいいんだけど,そいでいるので縫えないし,面で処置しないと行けない。あと,最近はジェル状のパッドを当てて直す,湿潤療法というのがある(そしてそういう医療品がある),ということを知ったのは勉強になりました。2週間ぐらいで怪我は治ったんだけど,そのあと指先の感覚がちょっとヘンなままなんです。指紋もなくなったっぽいし。これで一生いくのか,とおもうとちょっと嫌だなあ。まあ仕方ないです。

末っ子ビーズ鼻詰め事件は12月26日の22時頃におこりまして。何とも言えない変な顔を一瞬ふぇ,と見せてから泣き出したので,何だろうと思ったんだけど,すぐに夕飯前にぶちまけたビーズのことを思いついて,鼻を見たらキラキラ光ってるのね。綿棒や吸い込み器で吸い込むも,全然とれないので,急遽救急病院に駆け込みました。もうお父ちゃんは心配したぞー!!

病院につくと,耳鼻科の先生にひょい,と取ってもらって,本の数秒で処置が終わり。あー,びっくりした,というだけで済んでよかったです。指のときもそうだったんだけど,救急にはかかりたくないねえ。

で,次の27日に息子が午後吐いて病院へ。これは日中,といっても年内最後の診療で,ノロウイルスでしょう,と。予定では28日に車で移動するはずだったんだけど,車内で吐いたらみんなに移るよ,とも言われていったん延期することに。すると翌日28日は夕飯後に長女が,29日は夕方末っ子が嘔吐。まあ確実に一日1人ずつやられていくのです。これは大変なことだ。ということで帰省そのものを取りやめることになりました。ちなみに,吐いた子は次の日には元気になっています。問題は保菌しているだろうこと,親もヤバいかもしれないから気を抜けないってこと。それにしても布団の上で吐かれて,洗濯して干したり,コインランドリーの大型乾燥機に走ったり,というのが大変。加えて,帰省に向けて冷蔵庫を空っぽにしてあったものだから,ここ数日食べ物がコンビニ弁当等なのです。もっとも子どもたちはおかゆとうどんしか食べてないですが。今からおせちをつくるのも,買うのもなあ,という感じで大晦日を迎えています。

俺の体調管理もなんかおかしい。夏風邪を引いたり,腹痛を起こしたり,風邪を引いたか,と熱を測ると熱があるので早めに寝ると次の日にはすっかり治っていたり。どうも30代後半になって,「体調を維持する」ということだけでも難しくなりつつあるようで。ヘルスサイドに堕ちないよう気をつけながら,やっていきたいと思います。

9位はRのこと。Yamadai.R,Sapporo.R,中四国心理学会でのRチュートリアルセミナー,と三回のR講習会で講師を演じました。Rは本腰入れて宣伝できるいいものなので,来年も啓蒙活動を行っていきたいと思います。実はRチュートリアルセミナーのテキストを電子書籍で配布することも考えているんだけど,その辺の面白さはまたおいおい。

最後は出張に関することね。北海道,沖縄,楽しかったなーということです。本当は北海道の方は家族も連れて行きたかったんだけど,親族に不幸があって行けなくなっちゃった,という。学会にいくついでに家族旅行する,というのが俺の夢でもあったんだけど,今年はついぞかなえられませんでした。またの機会を狙いたいです。

 

この他にも,車に傷を付けられて修理に5万円かかった話とか,年末に杉の井ホテルで楽しんだ話とか,分位点回帰は面白そうとか,Sphinx,ReVIEWなどの構造化されたテキストへの興味関心とか,これからWii Uを買いに行く話とかもあるんだけど,ランキングとしてはこんなもんでしょうか。

途中にも書いたけど,来年は研究者として,論文を書く!時間に余裕を作ってもっとちゃんと遊ぶ!を目標に,ついでに家内安全!健康第一!もテーマに楽しくやっていきたいと思います。

 

最後にもう一度宣伝。

[amazonjs asin=”4762828254″ locale=”JP” title=”M-plusとRによる構造方程式モデリング入門”]

 

 

ほなまた。



上三角行列のデータから対象行列を作る

MDSを実際のデータでやってみよう,という演習をした時の話。

学生には距離行列をmatrix型で全部入れさせたんだけど,自分でやる時は効率が悪いなあとおもっちゃう。だって,対象行列だもん。

上三角分のデータだけ入れたら,対角は0なんだし,自動的に対象行列にしてくれるように関数を書きたいなあ,とおもって書きました。たいしたことはない関数ですが,どこかにニーズがあるかもしれないのでさらしておきます。

 

 

ちなみに,青木先生のページにも同様の関数があるんだけど,これは対角にもデータが入っちゃうのでちょっと今回の狙いとは違う。
一応,ご参考までに>>三角行列の要素を与えて対象行列を作る



高温スチームクリーナー

年末は飲み会だったり帰省だったりで,大掃除の時間をとることが難しい。ので,今日やった。

今日は朝から,網戸の掃除をしたくて,他にも台所回りのあれやこれやがやりたかった。で,妻と相談した結果,高温スチームクリーナーを買うことに。

最近のは4000円しないんですね。Merxで,カー用品のところにおいてあったけど,高温スチームクリーナーをゲット。

 

これで網戸や台所回りをやると,驚くほど仕事が捗った。恥ずかしながら,壁ってこんなに白かったんだ・・・,と思った。コストパフォーマンスはかなり良い。おすすめです。

 

[amazonjs asin=”B00BQU8BX6″ locale=”JP” title=”REMIX レミックス 高温・高圧スチームクリーナー 品番 SC900W”]



t検定の効果量における信頼区間

t検定の効果量における信頼区間,が知りたかったわけですよ。

t検定の効果量と言えばdな,といううすーい理解しかしてませんでしたが,必要が生じたのでちょっと調べてみた。

非常に混乱してしまうのだが,街亜・岡田のテキストにもあるように,dの表記というか,表現に混乱があるのだな。

  1. オリジナルの,Cohenのd
  2. Hedgesのd
  3. Hedgesのg(Hedgesのd.unbiased,バイアス補正されたd)

といった感じ。とりあえず,1.のdは普通使われないので無視していい。で,2をCohenのdと書いてある本もあるらしくってややこしい。表記はいろいろだけど,Hedgesベースで,d.biased,d.unbiasedで分ければわかりやすいかも。

ただ,分析プログラムによってはその書き方がぶれるわけです。

ここでは効果量とその信頼区間を出してくれるcompute.esパッケージとrpsychiパッケージで比較してみます。

 

ここにあるように,compute.esパッケージのmes関数が出すのは,dとしてd.biased ,gとしてd.unbiasedのふたつ(小数点以下を表示させるdigオプションで下5桁まで出した)。rpsychiパッケージはesとしてd.unbiasedを出してくれている。いずれも信頼区間まで出してくれるのでいいんだけど,これがバイアス補正のかかったd,あるいはHedges’s gになってる,ということに注意。

ついでに,街亜・岡本のテキストにそって手計算したら次のようになる。dのバイアス補正についてはこちらのスライドを参照した。

Deltaはついでに出しただけです。詳細はテキスト参照。

ともかく,こうして書いてみてやっと整理できた。dとかgとか,もう面倒だなあw

 

 

[amazonjs asin=”4326250720″ locale=”JP” title=”伝えるための心理統計: 効果量・信頼区間・検定力”]



腹痛い

数年に一回のペースで,ものすごい腹痛になることがある。

 

一番ひどいのは,多分なんかの菌にやられて数日間寝込んだことがあったけど,そこに至らないレベルでも,貧血で倒れそうになる(たぶんお腹に血が集中して頭がクラっとするんだとおもうが)レベルのやつが,時折あるね。

 

山口に来てから,二度目の,脂汗を垂らして苦しむレベルのやつが,昨晩来ました。あれはいつやっても辛いなあ。

 

今日はリサミが9時からあるから,なんとか出勤して話し合いは終えたんだけど,話し合いをしながら気がふわ~っと飛んでいきそうになって,「あかんこれ病のレベルや」と思ったので,2コマ目以降の指導・講義を全部キャンセルしてしまいました。ご迷惑をお掛けしました。

早退して,昼ごはんも食べずに横になり,時折トイレに行きながら生きてましたよ。

 

陀羅尼助丸には今回も感謝です。あと,食前に飲む漢方は効くね。大正漢方胃腸薬を夕飯前に飲んだら,今頃(22時)はもうブログが書けるぐらいに回復しました。ふぃー。



子供のいろいろ

上の子の場合

・仲良しの隣の家の子とピクニックにいく、という。休みの日の朝からお弁当を作ってやらねばならないので、面倒である。お小遣いもせびられる。途中で駄菓子屋に寄るらしい。朝出て、夕方まで帰ってこないので、心配であったり気楽であったり。

・今朝の話。関西に住んでいる許嫁のところに手紙を送るので切手をくれという。二通あって、同じところに送る(差し出し人は本人と弟)というので、一つにまとめろよ、と封を開ける。と、写真が入っている。一つは先方からもらったものw もう一つは、自分のアルバムから昔の写真を取り出して、ご丁寧に周囲を切り抜いて手紙本文にはりつけている。勝手にアルバムの写真をとったらダメだとか、写真を切るなよ、とか、なんかいろいろ叱った。ついでに切手代80円とるので、明日のピクニックのお小遣いは20円です、といったら泣いた。最終的に、お金の大切さと写真の大切さを伝えて、切手は特別にあげることにした。次の誕生日(2月)から、月300円のおこづかい制を導入することにした。

真ん中の子の場合

・わがままボーイ。妹と喧嘩する日々。まだまだ子供っぽい。先日の学会初日、俺は土曜日でも7時おきだなあ、と思っていたところ、6時に「・・・濡れた・・・」といっておこされた。おねしょである。5歳だから、まだそういうこともあるか。

・拗ねるボーイ。3日前にコタツを出したのだが、夕飯がお鍋の時に、台所から卓上コンロまで土鍋を運ぼうとして「熱いのが行くからどいてー」というと、コタツの中に潜り込んだ。ので、「そこはかえって危ないじゃないか!」というと、半泣きになって拗ねて「食べぬ!」といって別室で引きこもる。相変わらず、拗ねると面倒である。

下の子の場合

・かわいさばつぐん。来週には3歳になるはずなのだが、今だにオムツは取れないし(取ろうともしない。トイレの感覚があるのに連れて行こうとするとガンと拒否して、部屋の隅に行ってしゃがみ込む)、日本語も不十分である。流暢に喋らなくてもいいと思っているようだ。あと、指すいが直らない。出っ歯になるのが怖い。

・車内でかけている音楽を一緒に歌う。大声を張り上げるももクロ「怪盗少女」はとても可愛らしい。あと「なめこのうた」も大好き。ヒムペキのポニョも一緒に「ぱーりら、ぱりらぱーりら」とか言ってるのは、よくない学習をさせてしまったかも。車内では三人とも、ジッタリンジンの「夏祭り」を歌います。



中四国心理学会第69回大会を運営しました

2013年11月16,17日の両日,中四国心理学会第69回大会を山口大学で開かせていただきました。

200名弱の大会参加者,公開講演も150名超のご参加を頂き,大変盛会となりました。

ご来場の皆様に感謝いたします。

 

また,今回もあっかるいスタッフと共に仕事させてもらったことに感謝です。

色々あって,終わってからまあよかったよかった,終わり良ければすべて良し,なーんてものがただの自己満足であり認知的不協和の解消でありおめでたい話であり,学会運営でどれだけ喜んでもらったり楽しんでもらったりしても,自分の研究者としての資質向上には組しない(むしろ雑務にかまけて研究教育が滞ったほどだ)ことは重々承知しているのだけど,それでも良かったし楽しかったし感謝している。

そういうことにさせてください。俺のワガママにつきあってくれた,来場者,スタッフ,関係者各位に御礼申し上げます。

 



偏η^2の信頼区間を求める

社会心理学会のWSで,効果量の信頼区間の話をやっていた。

分散分析では,anovakunが偏\eta^2(partial \eta^2)をpeta=Tオプションで出してくれるから愛用しているんだけど,この偏 \eta^2の信頼区間を出したらもっとわかりやすいよ、という話。

確かに,その変数が分散のどの程度を説明するかという指標なので,その信頼区間があるとわかりやすいよね。

 

ところが,WSでは「RのMBESSパッケージを使えば簡単ですから」とは紹介されていたものの,このMBESSパッケージがなかなかくせ者で,どのようにして算出していいのかがわかりにくい。

こちらのサイトを参考にして,これ経由のソースをダウンロードしてできるらしいことはわかったんだけど,MBESSパッケージではどうやるの。。。っと悩んで,やっと見つけたので答えを記録しておきます。(追記・訂正があります)

こうすることで,偏\eta^2とその95%信頼区間が描けます。conf.limits.ncf関数がメインで,信頼区間のオプションはconf.level=0.95がデフォルトになっているので,これで95%信頼区間がでます。
ちなみに,括弧でくくることでprintをしていることに注意ね。

自由度とF値だけで算出できるかと思いきや,非心F分布non-central F distributionとやらが出てきて,後輩やらいつもの先生のサイトに助けてもらったり,とうろうろしましたが,答えがスッキリ出たのは気持ちいいなあ。

こうなると,他の効果量の信頼区間も欲しいところだが,今はちょっと時間がないので、また今度。

 

 

追記

この算出式でなくても,

で算出できることを,南風原先生直々にご指摘いただきました!感謝です!

なお,下限,上限を求める式中のdf1+df2+1のところは,WSの中でも誤っていることが指摘されていて(聞いてたのに理解してなかった!スミマセン),正しくはNであるとのこと。G*powerでは正しく推定されているよ、という話はここに関係していたのですね。

 

In Table 2 in Faul et al. (2007), the noncentrality parameter \lambda for “Multiple regression: increase of R^2” is given as f^2*N.
This parameter is implemented in G*Power.But in Cohen (1988, p.414), the noncentralityparameter is given as f^2* (u+v+1), where u and v are the df for numerator anddenominator, respectively.

 

ということで,正確に書き直すと,

となります。
まだまだ勉強が足りないなあ。テキストからやり直しだぁ!

[amazonjs asin=”4641121605″ locale=”JP” title=”心理統計学の基礎―統合的理解のために (有斐閣アルマ)”]


  • Categories:

分位点回帰Quantile Regressionは確かに面白い

社会心理学会大会2013@沖縄国際大学,はそこそこ楽しめたのだけど,中でも一番面白かったのが分位点回帰についてのWS。

前々から企画者のIさんに面白さは伺っていたのだけど(論文も書かれてましたね),WSで確認し,先ほど実際自分で触ってみて面白さを味わった。当然,Rでできるのである。

少し宣伝?解説?しておくと,従来の回帰分析が平均回帰を狙っているのに対し,分位点回帰は任意の分位点(30パーセンタイル点とか,第3四分位とか)での回帰係数を求めるというもの。しかもひとつではなくて,複数求めることができるから,第1四分位ではこういう傾きだったのに,第3四分位では傾きが変わりましたね,なんて事も分かる。

心理学変数のほとんどは正規分布するという便利な建前があるが,実態的データ,例えばネットワークサイズとか年収のようなもの,は当然偏った分布をするのであって,平均点目指して回帰する時点ですでに歪んでしまっているわけである。それを補正する可能性があるのがこの手法。

何より感心したのは,WSで「我々の仮説が平均回帰に縛られすぎてないか?もっと自由であるべきではないか?」という問いかけがあったこと。確かにそうだよなあ,実際のデータとか経験則は,必ずしも平均のことばかりではないからなあ。

 

さてRではquantregパッケージというのがあって,そのなかのrq関数が分位点回帰をしてくれる。QuantileRegressionだからqr関数じゃないの,と思うかもしれないが,qr関数はすでに固有値分解のQR法に割り当てられた名称なのでダメなのです(これは譲れない)。

quantregに入っているエンゲル係数データを使って,試しにちょっとやってみた。

コードはfoodexp(食費)をincome(収入)で予測するだけの式だけど,tau=seq(0,1,0.25)のオプションで0,0.25,0.50.0.75,1.0の分位点回帰をせよ,という意味になっている。0とか1は無意味だけど,0.25,0.75は四分位だし,0.50は中央値回帰になっている。結果は明らかで,収入が下位25%のところだと0.47しかない係数が,中央値で0.56,第3四分位で0.64とあがっていき,上位階層の人間ほど食費にお金が回せるのだな,ということが明らかだ。

お金がらみでついでにもうひとつ。野球の年俸と成績の関係を分位点回帰にかけてみた。データはここから持ってきたものを使っている。

これをみると,年俸が低いうちはホームランや打率がものを言うが,年棒が高い層は打率はむしろ負のパスになって,ホームランや三振のパス係数がおおきくなっていく。つまり,記録より記憶で儲けるようになると,一流ってことですかな。

人文社会科学系のデータは歪んでいるのも一杯あるだろうから,こういうモデルで自由な仮説検証がもっと進むといいですね。

>> See also RPubs http://rpubs.com/kosugitti/10473

 

参考文献はこちら。安くていいと思う。

[amazonjs asin=”1412926289″ locale=”JP” title=”Quantile Regression (Quantitative Applications in the Social Sciences)”]



SEMから教える。SEMだけで教える。

Yamadai.RというRの勉強会を定期的に開いているのだが,参加者が基本的にゼミ生なので,ゼミ生に対する統計の補講のようになっている。まあそれでもいいんですけど。そういう位置づけの会になっているので,授業では触れないやり方とか,新しい教え方を試す場にさせてもらっています。

 

普段の統計の講義(データ処理法)では,検定,回帰分析,因子分析,とオーソドックスな順で教えていくのだけど,いつも最後の方は時間が足りなくて,SEMまで言及できなかったりする。ということで,Yamadai.Rでは逆に,最初からSEMを教え始めた。回帰分析は説明したんだけど,lavaanパッケージを使ってやるのである。

重回帰分析を教えるときに,「独立変数間は無相関でないとねー」とか注意しないといけないが,lavaanを使っていると「このモデルは独立変数間に相関が考えられるよね,パスを足してみようか」という対応ができるわけで,わざわざ遠回りした上で「昔は苦労した」みたいな話をしなくていい。

さらに別の教育効果があることを先日発見した。

データとして,プロ野球選手の年棒とシーズン成績をここからとってきて使ってみた。打者のデータに限定して回帰分析につかうと,例えば「ホームラン一本打ったら年棒がいくらあがるか」という話ができて,学生もイメージしやすい。いい教材を見つけたと思う。

で,前回は潜在変数を仮定したモデル(因子分析)を教えていた。「安打数」「HR数」「四球数」「体重」を観測変数として,【腕力因子】を仮定し,「盗塁数」「犠打数」「体重」を観測変数とした【脚力因子】を仮定したモデルを描いてみたのである。このモデルが妥当かどうかは検証していくとして,まずこういう目に見えないものを背後においてみる,というお話なので,やってみて「おおできた」,「腕力と脚力が負の相関,なるほどな」みたいな実感を得た。いいかんじ。

そのあと,モデル修正指標を見てみると,腕力因子から盗塁数にパスを出すと良い,という事であった。ここでちょっと「?」となったのだが,学生が「腕を振るから走るんじゃないか」「スライディングのときに腕をのばすのではないか」「まさか逆立ちして走るのか」とか言い出したので,シメタ!と思ったのである。

【我々は,背後に潜在変数があると仮定してモデルを描いた。その潜在変数が「腕力」であるかどうかは,俺が名前をそうつけただけで,本当に腕の力なのかどうかわからない。なのに我々は,いったん腕力と命名してしまうと,まるでそれが実際に存在するかのように考えて,「腕力だとするとこのモデルはどういう意味があるか」と思考の向きが逆転させてしまう。それは(よくあることだが),よくないことだ。よくよく注意しなければならない。】

というようなことを教える好例となったのである。

これ,探索的因子分析から教えていると,ちょっと気付きにくいことなんじゃないだろうか。あるいは,教える側からは強調するのだけど,教わる側からするとイメージしにくい問題ではないだろうか。そもそも探索的因子分析から教える場合,共通性の推定方法とか,因子数の決め方とか,次々に新しい言葉,気をつける点が出てきてしまって,「因子の解釈と命名」まで注意が維持しにくいような気がするんだよね。これをいい例で教えられたと思ったわけです(間違えてくれた学生ありがとう)。

心理学の研究も気をつけないとそういうことになりがちで,自分で勝手に仮定した構成概念に関係する文言からなる質問紙をして,因子分析の結果,「ほら見ろ因子がでたぞー!」っていうのって,自作自演というか,マッチポンプというか,「てっちゃんの手品」になってるんだよね。

注)「てっちゃんの手品」というのは,愚息(てっちゃん)が「お父さん見てみて!いい?ぬいぐるみをこの箱の中に隠して・・・ジャーン!ぬいぐるみがでてきましたー!」という手品を披露してくれたことに起因する小杉ゼミ専門用語。

 

なので,SEMから教える,SEMだけで教えることを考え始めた。

回帰分析,重回帰分析,パス解析をへて潜在変数を仮定したパス解析,という順に教えていくと,流れが非常にスムーズだし,評価も適合度だけでいいので伝わりやすい。従来の方法でも,どうせ回帰分析,因子分析を教えたあと,構造方程式モデリングに言及するわけだし,しかも最後の一コマだけつかって,「今まではこういう方法があるって教えてきましたけど,これからはこちらに統合されていきます」と言ってもあまり感動してもらえない。今後はもうSEMだけでいいだろうし,いつまでも古典的な方法を従来の順番通り教えていく必要もないかなあ。学部教育なので「因子分析とか回帰分析とかは聞いたことがないです。構造方程式モデリングしかできません」という学生を作るのもちょっとな,と思っていたんだけど,これからはもうそれでいいかもしれない。

 

来年度のデータ処理法,シラバス大幅変更の予感,です。

 




top