TwitterのTLで流れてきたので興味を持って,読んでみた。「心理学入門一歩手前―「心の科学」のパラドックス」。
教養の心理学を担当しているが,そこで俺が言いたいことの半分は,これに書いてあるなぁという感じ。
心理学のテキストは,冒頭に「心理学は科学である」みたいなことを必ず書いてあって,それを口やかましく言うことで伝えようとするのだけど,この本が良いのは「何でそれを言わなければならないか」を心理学者側の視点からではなく初学者の側から言うところにある。すなわち,心理学者が「心理学は科学である」ということを躍起になって伝えようとすると,初学者は「なんかうるさいのが言ってるぜ」と思うだろうけど,この本は「初学者の考える心理学ってこうだろう。でもそれおかしくね?」というところから入るのだ。
例えば「心理学は「心理−学」だと思うでしょ?でも「心−理学」ですよ?」という表現。これは俺も今まで講義中で言ってた台詞だったので,あー同じこと考えてる人がいるんだ,とおもった。もちろん,本になっているから,俺の講義を聴くより論理的で整合的で落ち着いて理解できますw
そこから心理学の歴史に入っていくのだけど,その構成の仕方も良かったなぁ。
最後にギブソンの「生態学的視覚論―ヒトの知覚世界を探る」の話や,仏教の話にも触れてあって,これは読者の好みが別れるところだろうと思うのだけど,私個人的にはとても良かったです。
ギブソンの本は積ん読になっているから,こりゃあしっかり読まないとなぁ(あとマーの「ビジョン―視覚の計算理論と脳内表現」も)。
ということで,初学者にもお薦めの一冊。
講義の副読本に決定!(来年はテキストにしよう。今年はもうシラバスが変更できない・・・)