今更ながら、年齢学序説を読んだ。
芸人のエッセイとは一風違って、論文の体で書いてある。語尾がクエスチョンマークで終わることが多いので、多少読みづらい。
26歳という年齢で、選ばれし者は時代を掴む、という年齢学も、例外が多すぎて共感はできない。
しかし、ある人が真剣にモノを考えて、自分なりの仮説を産み出して、それを検証しつつ生きる、というのはそれだけで面白いのだ。少なくとも、同じく論文を書くという世界で生きている人間にとっては。
地方出身の芸人として、今の芸能界やそこでの番組の作り方、相方の売り方など、真剣に考え込まれているプロットは、なかなか読み応えがある。
しかも、この論文の筋がフラフラして面白みが分かりにくくなった頃、最終章に到達して、それらの不満は一気に解消される。
なんのことはない、彼は彼自身の26歳を、この十章を書くためにそれまでの話を作り出し、論文として、「年齢学序説」という仰々しい名前をつけざるを得なかったのだ。なんて面倒な、なんて不器用な男だろうか。
これを読み終わると、大吉先生の人間性に感動し、ますます好きになってしまいます。
焼却炉の魔術師に興味のある方は、ぜひおすすめします。