人力検索はてなに、こんな質疑応答がある。
あなたの身近にいるパソコンにとても詳しい人について、その人の.. – 人力検索はてな
おそらくは、苦虫を噛み潰したような顔で、やりとりを読んでみた。
私はパソコン歴が長いから−それこそ小学生の頃から興味があったので−、平均的社会人よりはパソコンの知識がある方じゃないかと思う。ので、よく聞かれる側の立場になるから、そっちに肩入れをして読んだのだ。
落ち着いて考えると、これはまず、質問の立て方が悪い。仮定として、「パソコンにとても詳しい人」というのには共通する人格がある、というのがあって、その人格は欠点の方が多いだろうという予定の元、質問が繰り出されているからだ。当たり前だけど、パソコンに詳しい人というのも千差万別です。共通する人格を想定できるとは思えない。また、共通的人格を描けないのだから、その人格の長短所について、一般にものが言えるわけではないのである。
で、思うに、これに回答してしまった人は、己のステレオタイプに沿って反応してしまったのだ。ステレオタイプ的物の見方の強い人、というべきか。もちろんそういう人にとって、「パソコンにとても詳しい人」は嫌な人なのである。本当にいい人でも、悪いように見ている可能性が高い。悪いところが少しでもあれば、「あ、やっぱりね」となりやすい人であろう。人間は物事を単純に考えようとする、という仕組みはわかっているが、こういうところで目にするとわかっちゃいるけど辛いなぁ、と思う。
さらに思うに、この質問を出した人は、それがわかっていて問題を出したのであろう。「パソコンにとても詳しい人」の典型例は何か、というのを集めたかったからこういう質問をしたんじゃないかな。罵詈雑言や、パソコンにとても詳しい人擁護派をはっきり否定している辺りにそれが表れているだろう。そんなことをして何になるのかはわからんけどね。
ここまでわかっていながら読んでいても、正確には後で上のようなことを考えたんだけど、まずやっぱり字面に反応してしまう自分もいるわけで。パソコンにとても詳しい人の立場からいうと(自分で自分のことを“とても詳しい人”、なんていうのは恥ずかしいのだが)、じゃあ質問する側はそんなに優れた人格者ですか、成人君子ですか、とききたい。質問してくる人のイヤなところ、やめて欲しいこと、改善して欲しいこと、ダメな点などを、挙げようと思ったらいくらでも挙げられるのである。
ちょっと話が逸れるけど、最近は弱者の方が強いような気がするのだ。消費者は確かに弱者だが、だからといって「俺様は消費者だ、お客様だ、だからてめぇらきちんとサービスしろ」というのは間違えていると思うのである。サービスしてもらう側は、もらう側の、モラルなり節度なりが必要なのである。そこんところをはきまちがえる人は見苦しいと思う。私だって一回の消費者だし、わからないことがあったら質問する人間だけど、消費の仕方、質問の仕方にもマナーがあるですよ。
結局のところ、「悪意は悪意を産む」ということと、だからこそ「紳士たれ、節度を持て、美しく生きろ」ということは、人生を楽しく生きる上での真理であるに違いない。
・・・そもそも、知識・教養のある人、詳しい人、マニア、オタクの区別はなんだろう、という話を書こうと思ったのに、全然違うところに筆が流れてしまった。まぁいいや、今日はこれにて。
おまけの一言:全然関係ないけど、「備えよ常に」ってのもいい言葉だね。最近余裕がないから特にそう思うわ。