忘れないように書いておこうと思う。息子が腫瘍を取る手術をした話である。
腫瘍の手術というのはもちろん最もびっくりさせるために使ってる言葉で、嘘ではないのだが、手術そのものは10分ちょっとで済んだような話だし、悪性のものでもないので大したことはないでしょう。
ことの始まりは3週間ほど前、息子が首筋に何かいぼのようなものができてる、と言ってきたことから。確かに少し膨らんでる、血袋のようなものがあった。「俺なら爪切りで破って血を出し、外傷にしてしまって絆創膏でも貼っとくけどね」と言ったが、息子氏は自らの身体を荒っぽく扱うのは嫌なようで、とりあえず絆創膏を貼るだけで器にしないでおく、という戦略をとった。
しばらくすると、イボのようなものだったソレが、小粒の豆のようになり、それが血を含んで赤々としているし、なにより皮膚が膨らんだというより皮膚の上に豆をのせているような、奇妙な形状になってきている。こりゃーここまでいったら皮膚科案件だね、というと病院に行きたくない息子はすごく渋る。
去る14日土曜日、本来なら体育祭の日なのだが、雨が降って中止になった。病院に行く時間ができてしまったわけで、嫌がる息子を説得して近所の皮膚科へ。
この皮膚科、俺の肌荒れや蕁麻疹を治してくれたおばちゃん先生で、俺の時は見事に治してくれたから嫌がる息子に「名医だから」と伝えてあった。で、診察室に入るとすぐ、「あー、コレね…」と何かはわかった様子。皮膚のものが、血管性のものかはわからないけど、良性の腫瘍で取るしかない、という。しかし、いつもの歯切れの良さがない。取り方として、液体窒素で凍らせる…か、手術で切る…か…みたいなことを呟いている。悩ましいケースなのかもしれない。凍らせて焼き切る方法は数回の処置が必要だが、、今すぐできるようだ。切る方法は、専門医に回すことになる模様。幸い、月一回は外部の外科手術専門の先生が来てくれる日があって、それが来週になるという。
先生の歯切れの悪さは、俺からは「私は苦手なタイプの病状だなぁ」と思っているように見える。なので、自分が冷凍の処置を複数回するよりも、次週の先生に任せたいのではないか。こちらとしても渋る息子を何度も説得して連れてくるのは嫌なので、来週一発で終わらせてくれた方が楽だとは思うのだが。
ちなみに余談だが、息子は中2である。もうソロソロ、病院ぐらい1人で行ってくれんかな。あと何で親がご機嫌取らなあかんのや、勝手にせぇや、という気持ちがなくはない。俺が子供の頃は、小学生でも1人で歯科医や散髪くらいは行ったものだが、うちの子はどうもその辺まだまだオコチャマなのである。育て方のせいだろうから、文句言える筋合いでもないのだが、お父さんも週末の時間を使って付き合ってるんだよ、そろそろ楽させてくれよ、とは思っている。反抗期だから、言葉尻が煽ってくるような感じだけど、それも我慢してるねんぞ。まぁええけど。
さて、では来週手術で、ということになったのだが、であればその前に血液検査をした方がいいかも、とのこと。肝機能等、血液に問題がないかの事前チェックをした方がいいというのだ。そりゃそうだろう、俺も鎖骨の時、事前検診色々あったからなぁ。ところが先生、「やらないとですね」と言いながら、逡巡して「やめときます?」とかいう。なんで?いや、事前のチェックは必要ですよね、万一なんか事故でもあった時リスクありますよね、というと「困るのはこっちだから」という。なんだそれ。息子の体になんかあってから、お前が困るのなんか知ったことかよ!とムカついたが、大人なので飲み込んで「いえ、お願いします」とだけ返事。ちなみに息子はチョロっと病院に行ったら治るだろうと思ってたのに、来週も行くことになったし、採血されるのが嫌なので不機嫌まっしぐらである。
まぁでもやってもらわないと、とお願いしたが、そこからの手つきが怪しいのである。このセンセ、皮膚科なので注射とか採血とかあんまりやらないんでしょうね。注射器もなんか奥まったところから出てきたし、やり方も慣れてないみたいだし、注射器出してからもう一回「やっぱりやらないでおく?」とか言うし。しかも、恐れていたことに、採血を一発で決めてくれなかったのである。右でやって、失敗して、諦めかけたけど、左でやることにして、やっと成功。横にいたけど失敗してたこと知らなくて、なんか長くかかってるなぁ、血管見つかりにくい子なのかな、と思ってたら失敗してたみたいで、ごめんねー、ごめんねー、と言いながら寝る向きを変えさせてた。あーあ。
なんとか2回目で成功したようで、来週は別の先生が来て手術してくれます!とのこと。息子は2回目の採血が終わったときに、痛みか怒りか悔しさかなんかわからないけど、ベソかきはじめており、病院を出るや否や「だから嫌だったんだ」「あいつは信用ならねえ」と呪詛を撒き散らしておりました。
さて1週間後、前の土曜日21日のことですが、嫌だけど覚悟を決めた息子を連れて、再び皮膚科へ。今度は若い男の先生で、快活に「すぐだよ!大したことないよ!よくある外傷性血管腫でしょう。検体にも回すけど、まあ大丈夫ですよ!血液検査も問題無しです!」てな感じ。息子も真逆のキャラに少し安心したようで、大人しく手術が始まりました。患部の周りに麻酔の注射をして、メスを持って「痛くないよねー」と聞いてた時には既に小豆のような腫が取れてました。ハヤワザ!
小瓶に入れてホルマリン漬けにしたやつ、ほほ〜こんなもんが、と見てたら先生が「どうぞ手にとってよく見てください」という。面白いので写真撮っておきました。グロいのでここには貼りませんけど。
こんな感じですぐさま手術が終わり、2針縫っておわり。また抜糸に行ったり、検査結果を聞きに行ったりはしないといけないけど、まぁきれいになったので安心しました。傷口も見たけどごく小さいのね。5ミリあるかどうかくらい。
息子氏はそのまま鮮やかな手腕と、存外早く終わったこと、痛くもなかったことなどから、今回は上機嫌。終わった終わったーってなもんで、今回はご機嫌取りする必要なくて安心しました。抜糸の時はまたいつもの先生になって、不信感あるからぐずるだろうけどw
という顛末。血管が外傷で少し破れて、自己回復の設計ミスで少し体の表にプクッと出ちゃったんだろうな。腫瘍というと悪いものを考えるけど、良くあるやつです、とのことでもあるし、心配はしてませんが。にしても、子育てしてると色々あるなぁ、軽く済んでよかったなぁなどと思いました。以上、記録がてら書き残します。