KSPと忘年会

木下御大が福島第一原発社会心理学のことについてお話しされるという。もちろん忘年会とセットでもあったので,参加してきた。
このところ,ジョブズの生き様を通じて,また前日のシンポを通じて,システムをどのように構築するべきかについて考えているんだけど,同じような悩みが国と国営企業との中でもあったようで。

言葉の問題とかもあるんだけど,やはり教育しか出口はないように思うんだよな。システム教育。
たとえばリスクを危険、クリティカルを攻撃、ガバナンスを軍隊と読み間違えるから、システム思考ができない人ができるんだ,というのは大事な気づきだと思われる。
リスクをきちんと計算し,批判的に考え,うまくコントロールするためには,しっかりシステムを考えて指向する人が必要なんだよなぁ。
そして,悪いシステムに公務員特有の三年任期が付け加わると最悪なのだそうだw
特に放射能の世界は,熟練者ほど被曝量が累積するので後継者を育てるのが難しいという。プロもいない,後継者もいない,かといって電力をほかで稼ぐ方法があるわけではない,という状態でどうするか。本当にいろいろな知識を集めるしかないですよ。

もちろん,社会心理学者のシステム的発想は有用なんだけど,その価値をわかってくれる人,わかってくれるチーム,わかってくれる組織,わかってくれる市民がまだまだ少ないのが残念。
統計業界的にも,サンプルのとれない事象に対してどういうアプローチができるか,ってのはおもしろい問題だと思う。大数の法則ベイズの定理も1000年に一度の大地震をどう推測するかって問題にはお手上げ状態?

その後の懇親会で,T先生がアホと仕事はしないこと,というお話をされていて,昨日もその話をしていたんです,などと談笑。
システムを教えようとすると,学生は論文がかけないから困る。なので,システム的発想について研究者を育てるのって難しいね,という話。
トホホな感じではあったのだけど,御大に相談してみたら,まぁボチボチやっていったらよろしやん,という感じでまるっとまとめてくれた。

システム的仕掛けを作る研究ってできそうですかね,といったら,御大は是非やってという。
これには背中を押された気分。さぁしかし,結果はだせないだろうし,どうやったもんかなぁというと御大はゆっくりほほえんで「カントさんも毎年純粋理性批判を出版したわけじゃないからね。ゆっくりペース配分しながら,裏でじっくり考えてたらええねん」とのこと。

ありがたいお言葉でした。がんばるぞ。