討論「光の道」にみるプレゼン技術

昨夜は90分ほど遅れてだが、孫氏と池田氏(×司会:夏野氏)の「光の道」討論をみていた。テレビではなく、インターネットでやるメリットとして、CMが入らない(本音が言える)、時間制限がない(分断されない)などがあって、とても楽しいコンテンツだった。

池田氏は電波の解放を、というし、孫氏は電波の解放+光回線敷設を、という論点。後半の光回線敷設について、NTTの経営をどうするのか考えないとうまくいかないよ、という池田氏の反論も、皆で「ガバナンスも一緒に議論しようよね」というところで共有できていた。あまり論旨が食い違うわけでもないのだ。いずれにせよIT技術が経済発展のカギであって、発展しないのはそれをうまく使えない企業、官公庁の体質にあること、というのが問題。

さて、内容よりも最初に思ったのは、プレゼンの技術である。
孫氏は130ページ超のスライドを用意していたが、このスライドのできが相変わらず良い。130ページも!と思うかも知れないが、基本的に字が大きくて図でイメージを描いてあるので、紙芝居のようにスラスラ読める。細かい数字が必要なのは、最後に細く資料としてまとめてある。この130ページ分のスライドの使い方も、予想される反論、話の流れをシミュレーションして作られてあって、その「流れの読み」がまぁバシバシとあたる!反論しようにも、次のスライドに答えが準備されているのだ。これは説得力がある。こういう発表の仕方をしたいし、指導していきたいな。
見え方よりも内容ですよ、という反論があるかも知れないが、今回の議論内容のように、「どちらも!」なのである。

実はこの放送をみたかった一番の理由は、動く池田氏をみたかったからである。
彼のブログは非常に論理的でわかりやすい。きっと良い思考をされる人なんだろう。しかし、実際話をしているところをみて、どう感じるかな、と。
ロジックの本質ではないのだが、正論をいう人の外見、声などが説得には大きなポイントになる。
名前を出して失礼だが、私が小林よしのりが好きになれないのは、その内容ではなくて声である(笑)

で、池田氏。思ったよりも低い声で、しかもよく聞こえる声でお話をされている。これはいい。ますます聞く耳を傾けてしまう。
孫氏もじつは、思ったより良い声だった。イメージより少し低め、平均的男性の声質からいくと少し高い方かもしれないけど、情熱の乗っかりかたを考えるととても良い。裏声を使った決めぜりふ、「たいがいにせぇよ!」はウケルと思うなぁ。

そして司会をしておられた夏野氏。まとめか違うまい、質問の仕方がうまい、声もいい、実は今回の鼎談で一番光っていたのは彼ではないか、と思うほどであった。

折しも20時から原口大臣のネット放送があり、大臣はいま体調不良でイマイチ元気のない感じだった。
今後は大臣、閣僚、官僚も議論の場を公開して、広く支持を得なければならなくなるだろう。技術的には簡単だし、その方がみる方にとっても強く支持できるからだ。国民をバカには出来なくなるのである。

で、結局議論するときは声の大きさ、声質、タイミングなどノンバーバルな情報が影響するところも少なくない。
孫氏のように、わかりやすいスライドをつくって、説得力のある声で、データに基づいた論理的な話を、情熱的に語る、そんな政治や議論のやり方が求められてくるんだろうな、と思いましたとさ。