これは流し読み。Rコマンダーの説明書として、一冊研究室にあってもイイかなと思って読んでみた。が、主眼はどちらかというと「多変量解析」の方で、Rコマンダーの使い方そのものはそれほど丁寧に触れられているわけではない。
でも、この一冊を師と見立てて、一所懸命やってみたら、多変量解析の理解がすすむんじゃないかな。かなり広範囲にわたって書いてくれているし、イイコトも色々言っているので。
拙著(社会調査士のための多変量解析法)は、回帰分析と因子分析に特化させたけど、今になって他のやり方もあったかなぁ、と思ってみたり。読者、少なくとも文系で統計やらなければならん人は、おそらくもっと違う形のものを求めているんだがな。
いつもの持論だけど、統計ほどユーザーと理論家の距離が離れている分野もないんじゃないだろうか。ユーザーはソフトの使い方(クリックの場所からフォルダ名の付け方に至るまで!)も含めて学びたい(=教えて欲しい)と思っているんだけど、理論家はそんなのは表面的なことだから本質的なもの(=数学)を学べ、という。理論家の言うことは間違っていないんだけど、それは不親切だと思うんだよな。これまた(高等)教育はサービスか、という問題とも絡んでくるんだけど。
しかも、理論家は先へ先へと進んでいて、その世界が面白いったらありゃしない。そうか、理論はそこまですすんでいるのか、じゃあ現実問題に当てはめてみようか!というとき、結局ユーザーがついてきていないことにがっかりさせられるのです。そのためにも、やはり教育とか親切なテキストってのは必要なわけで。
とにかく、ユーザーと理論家の連続体を埋める中間点をたくさん作らないと駄目だな。ユーザーが進歩してもいいし、理論家が(サイエンスライターのように)戻ってきてもイイし。
出版社の人、誰か僕に本を書かせてみませんか(笑)